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伊藤宏一の“おカネと「美しく」つきあう方法”
<第4回:「ギラギラ投資」から「キラキラ投資」へ>
講師:伊藤宏一(千葉商科大学大学院教授)
「投資はすべて金儲けだからギラギラしたものだ」という考え方があります。皆さんはどう思いますか。お金を儲けることを究極の目標にすると、お金に目が眩んで心がギラギラして興奮してくることは本当です。古くはモリエールの「守銭奴」やシェイクスピアの「ベニスの商人」がそうしたイメージですし、最近では「お金で買えないものは何もない」と豪語したり、「金儲けは悪いことじゃない」と開き直る人がいたことも記憶に新しいと思います。
ギラギラ投資は目先の儲けを追うので「虫の眼」で短期売買を繰り返しがちです。それでたとえうまく儲けたとしても、所詮「あぶく銭」感覚なので、そのお金の使い方も荒くなりがちで、飲食や旅行でいつの間にかなくなってしまうことが多いのではないでしょうか。これでは長い人生を見据えた「資産形成」はできません。
それでは心が穏やかでキラキラするような投資はないのでしょうか。既に第一話でお話したように、お金は交換価値であって、価値そのものではありません。私たちはお金と引き換えに豊かな人生と持続可能な生活及び環境を獲得しようとしているのではないでしょうか。「鳥の眼」で視野を広くして考えてみると、投資はそうした豊かな人生と持続可能な生活を作り上げるために、いい商品やサービスを提供している企業を支援することであり、その結果リターンを得ることなのです。
例えば持続可能な生活の基礎に「水問題」があります。現在世界でまともに清潔な飲料水が飲めない人々は10億人以上おり、地下水の大量くみ上げなどの結果2025年には、推定世界人口75億人の50%が水不足に直面すると予想されています。そう、水問題は21世紀の大問題なのです。日本でも500㎜の水のペットボトルはそう遠くない将来、1本千円でも買えなくなるとささやかれたりしています。中国の黄河や北米大陸中部の川は水量が大きく減ってきていまし、水問題で紛争中の地域が地球上にいくつもあります。
地球表面の70%は水で覆われており、その97.5%は海です。残りの2.5%が真水ですが、その70%は南極大陸やグリーンランドの万年雪の氷河です。要するに地球上のすべての真水の約0.007%がわずかに私たちの利用できる水なのです。ですから真水は本当に貴重な財なのです。
さて水問題を解決する有力な方策は何かというと、無尽蔵の水資源である海水の淡水化です。「海水の淡水化」で最も重要なものは逆浸透膜による逆浸透法という技術ですが、これが安く効率よく使えるようになりつつあります。既に日本国内では福岡(2005年)や沖縄(1996年)で海水の淡水化が行われており、中東の湾岸地域でもこれが進み緑化も進みつつあります。そこでこの技術はどこの国の企業が持って仕事をしているかというと、実績ベースで言って、上位10社のうち半分の五社は実に日本のメーカーなのです。
「生活になくてはならない水が世界中で不足しないように」というキラキラした想いで、こうしたメーカーを支援するために投資をすれば、中長期的にみて、世界中からそのニーズが押し寄せ、結果的に株価も上昇する可能性は極めて高いでしょう。
そしてこうしたテーマは水に限りません。私たちの生活と地球環境をよくするためにどんなことが必要で、それに貢献している企業はどこかを一生懸命考えて投資することは、投資の本来の姿であり、こうした投資こそ「キラキラ投資」といえるのではないでしょうか。もし自分でそうした企業を探すことが難しければ、そうした企業を探して投資する投資信託を選ぶという方法もあります。SRI(社会的責任投資)ファンドや資源に関連したファンドを探すこともいいでしょう。逆にこうした投資信託に投資して、その投資対象の企業を研究して株式を買うということも一つの方法です。
地域や社会そして地球を鳥の眼で見て、何が私たちと次の世代の基本問題なのかを見据えて投資すること、これが「キラキラ投資」の方法論です。「キラキラ投資」は短期的にすぐにリターンが得られるわけではありませんが、中長期でゆったりじっくり投資に取り組むことによって、複利効果が働き、その結果大きな経済的・精神的リターンが得られるのではないでしょうか。
伊藤宏一(いとうこういち)
千葉商科大学大学院教授。税理士、CFP®認定者・日本FP協会常務理事、株式会社ポラーノ・コンサルティング代表、税理士、ファイナンシャル・プランナーとして、企業・労働組合などでライフプランセミナー・個人相談を実施するかたわら、講演、金融機関などのセミナー、雑誌・新聞などの執筆、テレビ・ラジオなどに出演。
主な著書・論文に『ライフプランニングー理論と実例』(2007年セールス手帖社)、『金融商品なんでも百科』(平成20年度版 監修 金融広報中央委員会)、『独立投資家宣言』(共著日経BP社)、『なる本FP』新訂版(2009年7月 週間住宅新聞社)、など。
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第02回 「組曲」のような資産運用とは?
第03回 ビジネスマン・ウーマンの現代的資産形成スタイル
第04回 「ギラギラ投資」から「キラキラ投資」へ
第05回 地球環境保全のための投資―スターンレビュー
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