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伊藤宏一の“おカネと「美しく」つきあう方法” <第7回:本物の資産家とは?>
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講師:伊藤宏一(千葉商科大学大学院教授) |
以前、第3回目のコラムで資産形成を取り上げ、金融資産と人的資産の関係についてお話をしました。
今回は、それを引き継いで、一般に人間にとって資産とは何か、基本的にどんな資産があるか、本物の資産家とはどんな人なのかということを考えてみたいと思います。
さて資産というと、普通は、株式や債券や預金や不動産を浮かべますが、果たしてそれらだけでしょうか。
そこでまず「資産とは人間の生活の豊かさのストックであり、経済的な価値とそれ以外の価値あるもの」と広く定義してみることにします。そうすると基本的に資産には次の4つがあることになります。
(1)人的資産
人の能力そのものが資産です。これを大きく分けると次の4つがあります。
・精神的資産
勉強したり考えたりして獲得する目に見えない無形資産。
経済的価値を生むキャリアや資格・スキル、愛情や共感力、教養や知性があり歴史や科学に精通していること、あるいは意志力や情熱なども精神的資産に入ります。
・生活文化資産
楽器が演奏できる、歌が上手に歌える、ガーデニングができる、スポーツができる、自分なりのライフスタイルがある、といったことです。
・人のつながり
人間関係の豊かさで、仕事の関係・趣味の関係・地域のつながりなど様々です。
・健康資産
健康は大切な資産です。健康が損なわれると働けず収入が得られず、逆に医療費が出ていきます。
バランスのいい食事や、運動したりサプリメントをとったり健康診断を受けるコストは、健康維持と病気予防のための費用で、これによって健康を損ねた時の収入減や医療費負担と比較することができます。
(2)金融資産
これはご存じのとおり、預貯金・債券・株式・投資信託などです。
(3)実物資産
大きなものは住宅です。住宅の資産価値は、かつては建物ではなく土地にありました。
しかし今日では、耐震性や耐久性を備えバリアフリー化した住宅は一定の資産価値が長期に維持される可能性があり、また土地も場所によって資産価値が上がったり、下がったりします。
住宅はそういう意味で、個人にとって大きなリスク性資産と言えます。
(4)地球環境資産
地球環境は人間の生命を支える生態系システムで人類共通の資産です。個人に所有権はありませんが、これなしには人間の生存が成り立ちません。地球環境は、酸素を形成し、水と空気の浄化を行い、有機廃棄物の分解などの生態系サービスを無償で提供しています。経済的価値に換算することも可能です。
地球環境資産の保全は極めて重要な問題で、個人の資産形成にあたって大きな前提の問題であると言えます。
さてこのように資産を広くとらえてみると、一体資産家とはどんな人なのでしょうか。
お金や不動産がたくさんあっても、目に見えない知性や教養がなかったり、自分なりの生活文化がなかったり、孤独だったりすれば、それは本当の資産家とは言えないことになりますね。
ヨーロッパの大富豪であるロス・チャイルド家は、金融関係の会社がいくつもありますが、ボルドーにシャトーも持っています。
そこのワインがシャトー・ムートン・ロットシルト。ちなみにロットシルトはロス・チャイルドのドイツ語読みです。
またチリワインにもロス・チャイルドのものがあります。いずれもコルク栓には5つ矢のマークがあります。
これは5人の兄弟が仲良くするという意味で、毛利元就の三本の矢の話と同じ趣旨です。
ワインやこうした精神的家訓のマークなど、ロス・チャイルドはやはり本物の資産家ではないでしょうか。
人的資産・金融資産・実物資産を増やすと同時に、地球環境資産を保全していくこと、そして自分の資産を人のためにも使うこと、これが本物の資産形成の道であり、老後の豊かさへの扉を開くものということができます。
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伊藤宏一(いとうこういち) |
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千葉商科大学大学院教授。税理士、CFP®認定者・日本FP協会常務理事、株式会社ポラーノ・コンサルティング代表、税理士、ファイナンシャル・プランナーとして、企業・労働組合などでライフプランセミナー・個人相談を実施するかたわら、講演、金融機関などのセミナー、雑誌・新聞などの執筆、テレビ・ラジオなどに出演。 主な著書・論文に『ライフプランニングー理論と実例』(2007年セールス手帖社)、『金融商品なんでも百科』(平成20年度版 監修 金融広報中央委員会)、『独立投資家宣言』(共著日経BP社)、『なる本FP』新訂版(2009年7月 週間住宅新聞社)、など。 |
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