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伊藤宏一の“おカネと「美しく」つきあう方法”
<第9回 老後資金8分法 ―団塊の世代の資産運用―>
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講師:伊藤宏一(千葉商科大学大学院教授) |
リタイアした方は退職金と今まで築きあげてきた金融資産を含めてまとまった資金があると思います。これをリタイア後の生活に向けてどうやって運用していったらよいかということに悩んでいる方も多いはず。そこで今回は、私が以前から提案している老後資金8分法をご紹介することにしましょう。
まずリタイア後の生活と必要な資金を時系列的に考えてみましょう。
この図をご覧ください。退職後のライフイベントを書き込んであります。定期的に海外旅行や国内旅行に行く、住宅の修繕とバリアフリー化をする、子どもの結婚で結婚資金をある程度出してあげる、社会貢献もしたいので寄付をする、…といった予定がたちます。そしてずっと生活費もかかります。また老後のリスクを考えると病気や要介護状態となり、お金がかかることもあるでしょう。そしてずっと先で相続や葬儀も考えておかなければなりません。皆さんも自分のリタイアメントプランニングをこうした簡単な図にして書いてみてください。
そこでこのプランニングを資金計画として整理しましょう。それが次の図です。必要な資金は一般的には8つあります。
いざという時のお金です。地震・台風などの災害や病気・ケガで突然大きな出費が出る場合に備えておく資金で、誰でも必要です。資金の性格としては換金性がポイントになるので、銀行の総合口座などにある預金を自宅近くのコンビニの銀行ATMで引き出せるようにしておくのが一つの方法です。
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子どもの結婚資金や住宅資金援助、あるいは孫のお小遣いなどの資金です。こうした資金は特に増やす必要はないので、定期預金や個人向け国債にしておきます。お小遣いについては分配型投資信託の分配金や株式の配当から出すといったこともいいでしょう。
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将来相続が発生した時に家族に残す資金です。これは生命保険にしておくのがいいでしょう。相続税に関する生命保険の非課税枠が法定相続人一人あたり500万円あるからです。保険の種類は期間が限られている定期保険などではなくて、一生保障がある終身保険が向いています。ただし、生命保険は既往症があると加入できません。病気がある場合は、変額年金で終身保障に移行するタイプのものが終身保険のかわりになります。この資金は、一般的には75歳以降に準備すればいいので、それまではこれに該当する資金は安定的な資産運用をしておくといいと思います。
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修繕やバリアフリー化、買換えや老人ホーム入居など老後の住宅にかかる資金です。これは確実に確保する資金ですから、リスクをなるべくとらない定期預金などの金融商品を使うといいでしょう。
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文字どおり老後生活のための資金で、まとまった金額になります。すでにその一部を個人年金で準備している方もいると思います。重要なポイントのひとつはインフレリスクによる資産価値下落をカバーするという点です。デフレが終焉しつつあり、物価上昇や金利上昇が今後も予想される中、長期の生活資金はインフレカバーのために安定的な資産運用が欠かせません。そのためには国際分散投資による市場リターンの確保を実行することが必要で、投資信託の上手な活用が求められます。福利効果を活かす累積投資ができるタイプのものを基本にしつつ、分配型投信で毎月の生活費を一部カバーするという方法もあるでしょう。
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これも文字どおりお葬式代です。家族資金と同じく終身保険などが向いていますが、ずっと先のことなので、退職後とりあえずは長期運用にまわすといいでしょう。
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趣味や旅行など老後楽しく使うためのお金です。余裕部分なので、リスクをとって運用すべき部分です。「使いながら増やす」のが基本戦略なので、分配型の投資信託や配当性向の高い複数の株式などで運用することを考えてみてください。
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最後が社会貢献資金。特定の団体にお金を寄付するのも一つですし、また社会のために積極的に貢献してCSR(企業の社会的責任)を果たしている企業を選んで運用しているSRIファンド(社会的責任投資ファンド)に投資するのも一つの方法です。
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以上8つの資金とそれにふさわしい金融商品を整理してみました。これらを大きく分けてみると、
A―(1)の手元流動性資金
B―(2)や(4)や(5)で数年以内に使う安全性重視の短期資金部分
C―それ以外の当面は使わず運用に回せる部分
の3つになります。このうちCについてはポートフォリオを組んで運用するといいでしょう。
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伊藤宏一(いとうこういち) |
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千葉商科大学大学院教授。税理士、CFP®認定者・日本FP協会常務理事、株式会社ポラーノ・コンサルティング代表、税理士、ファイナンシャル・プランナーとして、企業・労働組合などでライフプランセミナー・個人相談を実施するかたわら、講演、金融機関などのセミナー、雑誌・新聞などの執筆、テレビ・ラジオなどに出演。 主な著書・論文に『ライフプランニングー理論と実例』(2007年セールス手帖社)、『金融商品なんでも百科』(平成20年度版 監修 金融広報中央委員会)、『独立投資家宣言』(共著日経BP社)、『なる本FP』新訂版(2009年7月 週間住宅新聞社)、など。 |
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