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島田知保の“自分流で選ぶ‘あんしん運用’のために”
<第1回:ドタバタ時計と"あんしん"時計>
講師:島田知保 (月刊「投資信託事情」発行人・編集長)
資産運用は苦行でもギャンブルでもありません。ガマンやキケンはなるべく避けて通りましょう。私の基本は"あんしん"。でも、元本が守られ、必ず儲かるという意味ではありません。"心安らか"にお金とつきあい、お金に煩わされない人生を送りたいと願っているのです。
氾濫するニュースの金太郎飴
日経平均が○円安、為替が○銭の円高、上海市場は、ムンバイは、ニューヨークは、シカゴは、ロンドンは、…世界のどこかで動き続けるマネーを追って、ニュースは切れ目なく流れます。デジタル放送の機器などに不調が起きた時、クレームが最も多いのは「競馬」と「経済(市場)ニュース」が見られない場合だそうです。それだけ自分のお金を動かす情報源として、これらの放送に依存している方が多いわけです。
もちろん、何事も自分で判断するためには、情報を取捨選択して活用することが基本です。しかし、一般的なニュースでは、多くの場合「同じ出来事を同じ角度から」報道しています。また、海外のニュースについても、国内で報道される場合大手のニュース配信会社経由の情報が多く、ここでも「同じものが同じ角度から」伝えられがちです。さらにWebとなると、ポータルサイトは様々あれど、タダまたは格安で使えるヘッドラインは似たような情報源から取得しているように見受けられ、リンク先も似たり寄ったりのようです。HPやブログには参考となるものもありますが、誰がいつ発言したのか、情報の源は何なのか、出所不明の情報も多く、信頼性に大きな疑問が残ります。
大切なのは、自分の判断に役に立つ情報を見分けることです。氾濫する即時情報や映像報道によって、かえって忘れられがちになっているのが、情報の「質」ではないでしょうか。
メディアの宿命が短期投資を誘う
ではマネー・運用関係の情報はどうでしょうか?昨今のように市場が調整局面を迎えている中で、本当に投資家に伝えなければならないのは、(1)すでに投資をして不安になっている方に、判断の材料になる情報 (2)投資をしたいと思っていたけれど、悪材料の報道ばかりで不安になっている方に判断の材料になる情報 の2つでしょう。
ところが、マネー・運用関係のメディアでは(1)不安を煽る悪材料の羅列 (2)短期的に"儲かりそう"な話題や投資対象の特集 が目立ちます。広告を集めるためにも、投機心を誘う「話題の投資対象」が取り上げられがちです。投資信託で言えば、投資対象や投資地域を絞り込んだテーマ型ファンドや特定地域・国に投資する新興国ファンドです。それぞれのテーマや新興国の成長は、有望な投資対象です。ただし、投資対象を絞り込めば絞りこむほど、価格変動の幅が大きくなる確率が高くなります。資産全体の中で、運用にメリハリをつける部分に適した商品が、あたかも投資の主流のように特集されているのです。
もうひとつ忘れられているのは、これらのテーマや対象地域の成長は、本来じっくり腰を据えて応援していくべき課題だということです。ところが、メディアの報道姿勢からは「じっくり腰を据えて」が抜け落ちて、「短期で儲かる」印象ばかりが強調されがちで、多くの投資家もそのように考えて投資しています。勿体無いことです。短期投資では、テーマや国々の本当にめざましい成長を遂げる部分を、収益として取り逃がしてしまうことになりかねません。
メディアの宿命は、情報を間断なく流していくために、さっきより今、今より明日と、短期での状況の変化を次々に伝えなければならないことです。変化を知ること、新しい情報を知ることも大切ですが、自分の考え方や判断基準まで短期を基本にすると、資産運用で最大の味方になるはずの「時間」を、自ら敵に回してしまうことになります。
歴史観をもってニュースから未来を見る
今起きている出来事や、生じている変化で、将来の生活や世界はどう変わるのか?投資という面からは、単純に成長する産業分野を想像することもできます。しかし、そのような無機的な「何が儲かる」という発想ではなく、それらの変化をベースに、将来の自分たち、子供たち、見知らぬ国の人々が"心安らか"に暮らせる環境作りに役立つ分野を想像する方が、自分の心も安らかになると思います。
長期投資とは、単に長く投資資産を保有するということではなく、長期的な視線で投資対象と向き合う姿勢をも意味します。ですから、私は資産運用にあたっては、短期投資のドタバタ時計ではなく、じっくり投資をしていく"あんしん"時計で歩むように心がけています。
島田知保(しまだちほ)
イボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社 月刊「投資信託事情」発行人・編集長。東京生まれ。文部省宇宙科学研究所、衆議院議員公設秘書などを経て1995年より現職。創刊50年の投資信託専門誌「投資信託事情」は、愚直に経済・金融の社会的役割を追求する硬派な雑誌。投信関連調査、ソフト開発・開示資料・広報活動へのアドバイス、各種セミナー講師なども務める。 また、社会的責任投資(SRI)、責任投資原則(PRI)という考え方の普及に努めている。TBSテレビ「ブロードキャスター」コメンテーター、日経ラジオ「マーケット・トレンド」 ほか出演。岩波ブックレット「金融商品Q A」(共著)、教職員共済組合「共済だより」連載、ほか新聞、雑誌への執筆など。
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第01回 ドタバタ時計と"あんしん"時計
第02回 下落局面でパニクるか、ルンルンか?
第03回 注目のテーマ投資と地球環境
第04回 投スパ投資家は偉い!かも?
第05回 下落ショックを抑える資産運用のツボ
第06回 思い立ったら、リバランス計画を立てる
第07回 目標を見据えて、一人でも続ける
第08回 適応力と本質を兼ね備えた視線を持つ
第09回 自分の弱点を知って、判断の偏りを克服しよう
第10回 積み立て投資で「時間」を味方につける
第11回 大恐慌時代に学ぶ資産作りの王道
第12回 'あんしん'と'幸せ'を育てよう
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