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島田知保の“自分流で選ぶ‘あんしん運用’のために”
<第2回:下落局面でパニクるか、ルンルンか?>
講師:島田知保 (月刊「投資信託事情」発行人・編集長)
自分の資産が減っていくのを見ると不安になります。同時に他人の資産が増えていくのを見ると、何故自分も投資しなかったのかと後悔することもあります。でも、資産運用の王道は「安く買って育てること」。その継続が、成功率をだんだん高めていく"あんしん運用"の基本です。市場の下落局面こそ、将来に差が出る時期であり、"あんしん"倍増のチャンスにもなります。
経験不足が自身喪失の原因
そうは言っても、タイミング投資を勧めているわけではありません。今、「どこまで下がるんだろう。もう解約して、これ以上損が出ないようにした方がいいのかな?」という不安をひとりで抱えているなら、「そんなに悩まないで」と言いたいのです。下がっている時にあわてて売るのは"パニック売り"といって、あまりオススメできることではありません。
長期で資産運用をする場合、こういう局面での対処には大きく分けて2つあります。ひとつは、フルインベストメント、つまり運用資金のほとんどを投資している場合の対処です。これはもう、じっと我慢をして市場が戻るのを待つこと。"寝るのも投資"と思って何もしない手もあるのです。
でも、夜も眠れないほど不安で苦しいなら、保有資金に対して投資にお金を回しすぎている可能性があります。思い当たる場合は、耐えられる金額まで投資資金を減らすことも検討課題となるかもしれません。 耐えられる以上に投資している部分は損が出ても解約して、自分に合った資産構成に修正する機会でもあります。株から債券へ、必要ならキャッシュ(MRFや預貯金)へなど、資産全体を考えて形のよいポートフォリオにシェイプ・アップして、健康な資産配分を実現しましょう。
その場合「投資に懲りた!」と全額を解約したくなるかもしれませんし、「もう運用なんかしない!」と思う方もあるでしょう。でも、ちょっと思い出してください。そもそも、何を目的に資産運用を始めたのでしょうか?
将来のためにじっくり資産を育てたいと考えて始めたのであれば、今全てをやめてしまうのは、ここまで運用に費やした時間やコストまで無駄になってしまいます。生活や将来に大きな打撃とならないで、多少の我慢ができる資金なら、今はじっと待つ時期だと思って保有し続けるという選択もあるはずです。
今回の下落を経験として活かすには、「投資しすぎないこと」「焦って売らないこと」「あきらめずに続けること」をご提案したいと思います。市場は循環を繰り返すものであることは歴史が示しています。投資の経験を積んでいけば、明けない夜はないことが実感できるはず。不安をコントロールする心のゆとりも生まれてくるものです。
いざという時のためのキャッシュも大切
もうひとつの対処方法は、はじめに申し上げたように下落局面を"あんしん"倍増のチャンスにすることです。具体的には、安くなっているときに買うという、単純ではあるけれど、実際に行なうのは案外難しいことを実行して、運用効率を上げる可能性を高めていく方法です。
そのためには、いざ買いたい!という時に投資に回すことができるように、流動性のある余裕資金を常に持つように意識しておく必要があります。「投資に回せるお金があるのにキャッシュにしておくのは効率が悪い」と思う方もいらっしゃるでしょう。その通りかもしれませんね。
しかし、定期的に収入がある場合は、その一部をMMFやMRFなどに積んでおくことは、投資のためだけでなく急にお金が必要となる事態に備えるためにも心強いものです。家の修繕や病気など、予定外の出費ができる可能性はいつでもあるからです。退職後の方なら、あたりまえに準備している流動性資金なのです。
こうした資金の一部なら、いざという時の買い出動にあてても、また翌月から積めばよいので安心して使うことができますし、全額投資するなどムリをすることもできないので、自然に身の丈に合った運用ができるのではないでしょうか。
「欲望」と「不安」から自由になろう!
資産運用で最も大切なことは、揺れ動く自分の心とうまく付き合うことです。 不思議なことに、保有資産の価値の下落を考える場合、ほとんどの方が「最も上昇していた価格」と現在の下落した価格の落差を思って嘆きます。ではその「最も上昇していた価格」で実際に資産を売却して収益を上げていたかというと、下落して嘆いているわけですから、もちろんそんな素敵なタイミングを当てて換金したわけではありません。
実際に購入した価格と比較する場合も、嘆くためではなく、価格変動を実感して今後の参考とすればよいでしょう。今どうするかの目安には、あまりならないと思います。
今どうするかは、現在の価格と、今後変動していく将来の価格(資産の価値)を考えればよいのではないでしょうか。今より下げる局面があっても、長期的に上昇が期待できるなら持っていればいいし、余裕があるなら、買い増しや、欲しかった資産を加えればいいでしょう。
やがては、市場が下げてもルンルンと買いたい投資先を物色できるようになるかもしれません。
タイミングより継続、儲ける!より不安を減らす。そんな発想で運用という人生の旅を楽しむ仲間が、少しずつ増えてきています。
島田知保(しまだちほ)
イボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社 月刊「投資信託事情」発行人・編集長。東京生まれ。文部省宇宙科学研究所、衆議院議員公設秘書などを経て1995年より現職。創刊50年の投資信託専門誌「投資信託事情」は、愚直に経済・金融の社会的役割を追求する硬派な雑誌。投信関連調査、ソフト開発・開示資料・広報活動へのアドバイス、各種セミナー講師なども務める。 また、社会的責任投資(SRI)、責任投資原則(PRI)という考え方の普及に努めている。TBSテレビ「ブロードキャスター」コメンテーター、日経ラジオ「マーケット・トレンド」 ほか出演。岩波ブックレット「金融商品Q A」(共著)、教職員共済組合「共済だより」連載、ほか新聞、雑誌への執筆など。
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第01回 ドタバタ時計と"あんしん"時計
第02回 下落局面でパニクるか、ルンルンか?
第03回 注目のテーマ投資と地球環境
第04回 投スパ投資家は偉い!かも?
第05回 下落ショックを抑える資産運用のツボ
第06回 思い立ったら、リバランス計画を立てる
第07回 目標を見据えて、一人でも続ける
第08回 適応力と本質を兼ね備えた視線を持つ
第09回 自分の弱点を知って、判断の偏りを克服しよう
第10回 積み立て投資で「時間」を味方につける
第11回 大恐慌時代に学ぶ資産作りの王道
第12回 'あんしん'と'幸せ'を育てよう
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