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島田知保の“自分流で選ぶ‘あんしん運用’のために”
<第4回:投スパ投資家は偉い!かも?>
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講師:島田知保 (月刊「投資信託事情」発行人・編集長) |
世界的に株式が調整局面に入り、投資信託を保有している方の中にも、ちょっと元気が無い方が多いのではないでしょうか。また、これから投資信託を購入して資産運用を始めようかなと考えていらしても、"もっと市場が下がるかもしれない"と思うと、なかなか初めの一歩が踏み出せないかもしれません。
しかし、資産作りでは、下げ相場から始める勇気のある人に、時間の神様が微笑んでくれるものです。市場の動きに惑わされずコツコツと続けること、何度でも繰り返し言いますが、これこそが'あんしん運用'の極意です。世の中の投資意欲が落ちているときに、いかに平常心で運用を続けられるかが、長期での大きな差を生む源泉となります。
長期で差がつく金融資産保有額
ひとつ時間を考える素材を見てみましょう。金融広報中央委員会の調査による個人金融資産の保有状況の統計から、年代別の金融資産額の「平均値」と「中央値」を比べたものです(グラフ参照)。
「平均保有額○千万円」などと聞いて、「みんな本当にそんなにお金を持っているのかなあ」と感じることがありませんか? 多数の人が保有している額に近いのは「中央値」の方で、「平均値」は少数の高額保有者が引き上げているからです。そして、この「中央値」と「平均値」の差は、年齢が上がるほど開いてきます。相続財産や事業での大成功は誰にでも望めるものではありませんが、長期での資産形成の効果でこの差をコツコツ埋めていく努力は、誰にでも取り組むことができる方法です。
時間を味方につけてコツコツと資産運用に取り組むことは、無理をせずにこの矢印の上方向を目指す手堅い手段であり、そのための便利な道具が投資信託なのです。
売れ筋!投信ランキングに見る、自立した投資家の賢い選択
そこで、投信スーパーセンターの売れ筋!投信ランキングを見ると、第1位は「年金積立インデックスF海外債券(ヘッジなし)」、第2位は「ニッセイTOPIXオープン」、第3位は「ニッセイ高金利国債ファンド」、第4位は「三井住友・ヨーロッパ国債F」、第5位は「年金積立インデックスF海外株式(ヘッジなし)」となっています(6月の月間ベース)。
投資信託を'長期'での資産形成や、そこそこ資産を保有している方がゆったり資産活用をする道具として見た場合、これらのファンドが上位にくる投スパの投資家の選択は、偉い!かもしれないと思います。資産運用の中核に据えるべき商品をご自分の意志で選び、組み合わせている方が多いからこそ、上記のようなファンドが売れ筋になるのではないでしょうか。自分で学び、自分で選び、自分で組み合わせて資産をかたち作るという、賢い投資家の姿が見えてきます。
まずは資産形成の場合。1位、2位、5位のインデックスファンドで、海外債券・国内株式、海外株式という3種類の資産を自分のニーズに応じて組み合わせ、自分流のポートフォリオをコストを抑えて作ることができます。これを積立で活用すれば、資金が少ない若い時期からリスク資産を積み上げて、長期での資産形成を実践できます。
次に資産活用の場合。若い方ほどリスクは犯したくないけれど、資産を活用しながら運用したいという世代の方は、長期での複利効果を捨てても、下落時のリスク(複損効果とでも言いましょうか)を抑制し、かつ定期的なキャッシュフローを資産から得て活用するために、定期的な分配金を出す債券ファンドを選んでいる様子が3位、4位のファンドから推察されます。これも、資産活用世代にあっては、(1)分配されればその分基準価額が下がること、(2)長期での複利効果は抑制されること、などのデメリットも理解し、上記のメリット((1)下落リスクの抑制、(2)定期的な収益の現金化)を選んでいるのであれば、納得のいく選択です。
ただ、「高(好)金利債」「高(好)利回り債」と銘打ったファンドについては、特に投資対象をしっかり意識して確認しましょう。なぜなら、投資対象が先進国の債券なのか(上記3位のファンドはこれにあたります)、あるいは新興国の債券も含むのか、さらには新興国の債券のみを投資対象にするかによって、ファンドが持つリスクとリターンの特性が異なるからです。また、債券の種類も、国債や国債に準じる債券(ソブリン債)なのか、社債なども含むのか、どの程度の格付けの債券に投資するのか、などによってリスク水準は異なります。新興国の債券や社債は、先進国の国債より期待利回りが高い分リスクも高くなります。また、投資通貨を絞り込むほど通貨分散による為替変動リスクの抑制効果が薄れることも、しっかり理解しておきましょう。
つまり、分配金額が高いということだけに着目してファンドを選ばず、どのような性格の投資をする商品かを理解した上で、資産活用に臨むことが大切なのです。
それぞれの資産の持つメリット、デメリットを学びながら、自分の投資目的やリスク許容度に合った資産つくりができる自立した投資家をめざして、焦らず、でも市場が悪いからとサボらずに、'あんしん運用'に取り組みましょう。
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島田知保(しまだちほ) |
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イボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社 月刊「投資信託事情」発行人・編集長。東京生まれ。文部省宇宙科学研究所、衆議院議員公設秘書などを経て1995年より現職。創刊50年の投資信託専門誌「投資信託事情」は、愚直に経済・金融の社会的役割を追求する硬派な雑誌。投信関連調査、ソフト開発・開示資料・広報活動へのアドバイス、各種セミナー講師なども務める。 また、社会的責任投資(SRI)、責任投資原則(PRI)という考え方の普及に努めている。TBSテレビ「ブロードキャスター」コメンテーター、日経ラジオ「マーケット・トレンド」 ほか出演。岩波ブックレット「金融商品Q A」(共著)、教職員共済組合「共済だより」連載、ほか新聞、雑誌への執筆など。
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