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島田知保の“自分流で選ぶ‘あんしん運用’のために”
<第5回:下落ショックを抑える資産運用のツボ>
講師:島田知保 (月刊「投資信託事情」発行人・編集長)
個人投資家の方々とお話をする機会があるのですが、現在の市場環境でも比較的ゆったり構えていらっしゃる方と、がっくりなさったり、「つまらない」とおっしゃる方との違いはどこにあるのかしらと、考えてみました。
まず大きく異なるのは、運用についてお考えになる時間軸の違い(
第1回参照
)。長期運用の視点にしっかり足をつけている方は、「上がる時も下がる時もある」「心配しないで淡々と続ける」「じたばた売り急ぐことはない」「じっと我慢する」など、市場の調整局面を冷静にご覧になっているようです。
もうひとつ異なることは、保有している資産の内容です。投資信託の部分に限って見ても、'がっくり・ツマラナイ'チームは集中投資、単発投資、流行テーマ突入タイプの方が多いようです。話題のテーマや特定の新興国のファンドを一度に買って、次々に投資テーマを追っていく投資です。リスク資産全体のプロポーションを見ると、ご本人は色々なファンドに分散投資をしているつもりでも、すべて新興国への投資だったなどということも実際にありました。一方、'ゆったり'チームは分散投資、リピート購入、コア・サテライトの資産の位置付けを意識していらっしゃる方が多いようです。
そして'がっくり'チームの方がよくおっしゃるのが「分散投資とか言うけれど、こんなマーケットでは、どう分散したってダメだよ」という意見です。…でも、本当にそうなのでしょうか?
'あんしん運用'は面白くない?
確かにマーケットの局面によっては、内外の株・債券どれに投資していても収益はマイナスという時期もあります。それを「ダメ」と考えるのは、投資を儲けるための手段としてのみ捕らえているからではないでしょうか?'あんしん運用'では、投資は資産を作る手段と考えます。資産作りで重要なことのひとつは、「大儲けを狙って大損をしない」こと。ホームラン打者や世界新記録を狙うのではなく、お金の健康維持を考えた運用を行ないます。
資産作りは長い目でみて大きく育てればいいので、収益については長期の視線で見ることができます。しかし、価格の下落はその時々で心理的なショック、つまり不安のモトとなります。市場がどのように動いても、短期での下落のリスクをなるべく抑制したい。そこで、気持ちを平静に保ち、心配しないで続けられるように、心とお金をマネジメントしていく知恵が、投資する資産の分散と、投資する時期をずらす時間の分散です。
投資対象や投資テーマを次々に見つけていくことを楽しむ投資ではないので、その意味では面白くないと感じるかもしれません。もちろん、投資の楽しみを否定するつもりはありません。ただ、楽しむ部分は、資産作りの中核ではなく、メリハリをつけるサテライト(衛星)として考えてはいかがでしょうか。あるいは、もうちょっと積極的に、資産作りのエンジンとして分散対象ととらえてはいかがでしょうか。
コモディティや新興国もポートフォリオの一部と考えよう
さて、グラフを見ると、バブルの絶頂期の日本株式や、このところのコモディティの上昇は別格としても、株式やコモディディの値動きを示す曲線は、大きく変動することがわかります。何年かごとにガクンと落ちることもあり、でも永遠に落ち続けることはありません。一方、債券のグラフは安定的ですが、若い方が資産を形成するにはちょっとパワーが足りない感じもします。超長期でみているので、日本の債券も大きく育っているように見えますが、この20年で見るとそれほど大きくは成長していません。
では、内外の株式・債券の4つの資産に均等に投資した場合と、コモディティも加えた5つの資産に均等に投資した場合のグラフはどうでしょうか? バブルの時の日本株の成長は取れていませんが、バブル崩壊の下落のショックも随分小さいですね。分散したから常にプラスというわけにはいきませんが、どれかひとつ、または複数の市場が大きく下げている時でも下落の度合いはかなり緩和され、全体でみると曲線はなだらかな右肩上がりになっています。
こうした資産の分散効果を活用して、長期投資での資産作りに取り組んでみてはいかがでしょうか。コモディティや新興国への投資も、新しさや短期での成長に目を眩ませることなく、資産構成全体の中でポートフォリオの一部として考えましょう。上手に長くつきあえば、資産作りの心強いパートナーになるはずです。
島田知保(しまだちほ)
イボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社 月刊「投資信託事情」発行人・編集長。東京生まれ。文部省宇宙科学研究所、衆議院議員公設秘書などを経て1995年より現職。創刊50年の投資信託専門誌「投資信託事情」は、愚直に経済・金融の社会的役割を追求する硬派な雑誌。投信関連調査、ソフト開発・開示資料・広報活動へのアドバイス、各種セミナー講師なども務める。 また、社会的責任投資(SRI)、責任投資原則(PRI)という考え方の普及に努めている。TBSテレビ「ブロードキャスター」コメンテーター、日経ラジオ「マーケット・トレンド」 ほか出演。岩波ブックレット「金融商品Q A」(共著)、教職員共済組合「共済だより」連載、ほか新聞、雑誌への執筆など。
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第01回 ドタバタ時計と"あんしん"時計
第02回 下落局面でパニクるか、ルンルンか?
第03回 注目のテーマ投資と地球環境
第04回 投スパ投資家は偉い!かも?
第05回 下落ショックを抑える資産運用のツボ
第06回 思い立ったら、リバランス計画を立てる
第07回 目標を見据えて、一人でも続ける
第08回 適応力と本質を兼ね備えた視線を持つ
第09回 自分の弱点を知って、判断の偏りを克服しよう
第10回 積み立て投資で「時間」を味方につける
第11回 大恐慌時代に学ぶ資産作りの王道
第12回 'あんしん'と'幸せ'を育てよう
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