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島田知保の“自分流で選ぶ‘あんしん運用’のために”
<第6回:思い立ったら、リバランス計画を立てる>
講師:島田知保 (月刊「投資信託事情」発行人・編集長)
朝晩は肌寒い日が増えてきました。このまま冬になってしまうのかと思うと、ちょっと寂しい気もします。まるで昨今のマーケットのようだと、一瞬暗い思いが頭をよぎります。でも、気を取り直して、今はこの環境をささやかに楽しもうと考えます。そう、秋の旅はいいもの。安い温泉旅行のパンフレットを物色しながら、食いしん坊の私は、秋刀魚、栗、松茸…と秋の味覚のあれこれを思い描いて、週末は悦に入っていました。秋には秋、冬には冬の楽しみがあるように、市場が悪いときにも、今だからこそできることを考えましょう。
資産配分の棚卸しはいかが?
まず手始めに、概算でよいので、自分のリスク資産の時価評価の一覧を眺めてみましょう。でも、「いくらで買ったものが、いくらに下がってしまった(涙)!」などと嘆いても、良いことはありません。だからと言って、見ないフリをしていては、自分の現状を把握できません。これからの資産運用の戦略をじっくり考えるためには、現状を知ることが大切です。大きく市場が動いたときには、資産の時価を確認し、資産クラス(株・債券、外貨建て資産の内訳など)ごとのおよその配分をチェックしてみましょう。
例えば、ダイエットをするなら、体重なり内臓脂肪量なりを測って、目標を定めて期間を考え、逆算しながら1週間にこの程度摂取するカロリーを減らそうとか、この程度の運動をしようなどと計画を立て、実行しませんか?そうすれば、1週間、1か月と、期間が過ぎるごとに、目標を達成できているか、目標にどの程度足りないかと、チェックもできますし、目標をクリアすれば達成感もあります。
私自身よ~く知っていることですが、そうは言ってもダイエットを達成していくのは、理屈ほど簡単なことではありません。ポイントは、弱い自分をいかになだめつつ、周囲の誘惑に負けずに、楽しみながら目標に近づけるかでしょう。
資産運用は、ダイエットに似たところがあります。無理をすれば拒食症や栄養失調・病気にさえなりかねませんし、辛い思いで挑んでも長続きしません。失敗すれば、他人のせい(宴会があったからとか、誰それの誕生日にケーキを食べたからとか…)にしたくなるものの、結果はすべて自分に降りかかってきます。成功した人は成功談を語りたがりますが、失敗した人は黙して語らずというのも似ています。流行の方法ばかり追って、ちっとも効果が出ない人が多いこと、楽な方法をメディアが取り上げたがるとこころも似ています。そういえば、ちょっと前にはスーパーの店頭からバナナが消えていましたが、最近は夕方でもバナナが残っているようです。流行のダイエット法なんて、そんなモノで、本当は継続してよい習慣を地道に続けるしかありません。そして、するか、しないかも、いつ始めるかも、自分次第。ちゃんとできる人は、やっぱりかっこいいのです。
というわけで、自分の資産配分を鏡に映してじっくり見てみると…案の定、思っていたより株式の配分がだいぶ下がっていました。
当初の目標に合わせてリバランス
こんな風にお話していると、まるで私は計画的できちんとした性格の偉い人のようですが、実はものすごくずぼらで、モノグサなタイプです。だからこそ、なるべく手間をかけず、ハラハラしないで済むようなマネーライフを心がけているわけです。
市場が大きく動いたとき以外は、たまに時価をチェックする程度。全体の運用の作戦を状況によって大きく変えることはしないで、その作戦からのズレをなおすように努めます。
今回は、リーマン・ショックの影響で日本株、海外株とも値下がりによって資産全体の中での割合が下がっていますから、その分を買い足す作戦を立てます。これを資産配分の再調整、リバランスと言います。毎年1回など、定期的にリバランスを行う方もいますが、私は市場が大きく動かなければ、時価だけはチェックしますが、3年以上放っておいたこともあります。
実際のリバランスの方法で最も一般的なものは、値上がりしている資産を売却し、値下がりしている資産を購入することによって、全体の割合を当初決定した資産配分に戻す方法です。今のマーケットの状況では値上がりしていると言えるような資産はほとんどありませんが、値下がりしていないことによってキャッシュと、値下がりの割合が少ないことによって国内債券の割合が上がっています。
ここからは、人によって考え方がいろいろあると思いますが、私は今値下がりしているものを売却して資産配分を戻すより、手元の資金量をにらみながら、多少時間がかかっても新規の購入によって、つまり追加資金を投入して、資産配分を戻す作戦を立ててみました。たっぷり資金があれば、一度に行動して資産配分を正すかどうか迷うところです。しかし、幸いなことにそれほど潤沢な資金は手元にありません。そこで半年から1年くらいかけて株式のポジションを上げていくわけです。これで購入時期を分散する時間分散も、自然にできます。
でも、こういう時期に株を買おうというのは、勇気がいることです。そんな時、私は長期の各資産の値動きのグラフ(
連載第5回参照
)や、今回ご紹介する各年ごとの資産の値動きのランキングなどを見て、勇気を奮い起こします。今起きていることは、長い時間の中でのひとつの局面でしかない、市場の値動きは予測が困難だからこそ、淡々とやるべきことを続けるだけだと再確認して、行動します。
図表は、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券、定期預金の5つの資産それぞれが、1年間にどれだけのリターン(マイナスのリターンの場合もあります)を上げたかを収益率で示し、各年のリターンが高い順に並べて、この10年間を見たものです。配当や利息などのインカム・リターンは再投資されたという前提にたっています。また、税金や取引費用は考慮していません。
晴れの日ばかりじゃないけれど、明けない夜はない!
図表の第1位をずらっと横に見ると、外国株式、国内株式、外国債券と、国内債券、定期預金以外の3つの資産が入れ替わりで登場しています。第5位を同様に横に見ていくと、国内株式、外国債券、外国株式、国内債券、定期預金と、5つの資産すべてが入れ替わりで登場しています。このように、どの資産がいつ、 どの順位にくるのかは予測不可能です。歴史的に見れば、1999年の国内株式のように、それまで最下位であった資産クラスが翌年1位になることも珍しくありません。毎年1位の資産クラスを事前に当てるのは、極めて難しいことが分かります。そして、ずっと5位という資産がないことも分かり、これを見ると、今悪いものを買っておくことが、将来の勝率を上げる期待ができるわけです。考えるべきは、これからどうやって資産を育てるかということ。ダイエットは来週からと、毎週先のばしにしている人にはなりたくありませんから。
島田知保(しまだちほ)
イボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社 月刊「投資信託事情」発行人・編集長。東京生まれ。文部省宇宙科学研究所、衆議院議員公設秘書などを経て1995年より現職。創刊50年の投資信託専門誌「投資信託事情」は、愚直に経済・金融の社会的役割を追求する硬派な雑誌。投信関連調査、ソフト開発・開示資料・広報活動へのアドバイス、各種セミナー講師なども務める。 また、社会的責任投資(SRI)、責任投資原則(PRI)という考え方の普及に努めている。TBSテレビ「ブロードキャスター」コメンテーター、日経ラジオ「マーケット・トレンド」 ほか出演。岩波ブックレット「金融商品Q A」(共著)、教職員共済組合「共済だより」連載、ほか新聞、雑誌への執筆など。
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第02回 下落局面でパニクるか、ルンルンか?
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