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島田知保の“自分流で選ぶ‘あんしん運用’のために”
<第10回:積み立て投資で「時間」を味方につける>
講師:島田知保 (月刊「投資信託事情」発行人・編集長)
これから将来に向けて資産を形成しようという方にとって、最大の味方は「時間」です。
そうは言っても、働きざかりの世代には、家のローンや子供の教育費などお金がかかることも多く、なかなか将来に向けての資産形成に回す余裕がないのが一般的。まして現在のように、株式や為替の大きな変動を目の当たりにすると、「続ける」のも「始める」のも忍耐や勇気が必要かもしれません。
そんな方にとって、毎月の積立額を決めて投資をしていくことは、資産作りの気持ちを楽にするとても良い方法です。ムリのない金額で始めさえすれば、市場がどのような動きをしても、自分が「やめる」と決めないかぎり、投資額はコツコツと積みあがっていきます。投資のタイミングをずらす時間の分散をしながら、自然に長期投資ができるのが積み立て投資の大きなメリットです。
そこで、'あんしん運用'に最適な手段として、今回は「積み立て投資」について考えてみましょう。
短期の変動に、心をわずらわされない
前回取り上げたように、私たちの気持ちは最近の大きな動きに引っ張られて、長期的な目標にとってよい判断ができなくなる傾向があります。市場が上がっているときには買いたくなり、市場が下がっているときには買えなくなるのです。
しかし、市場が変動を繰り返すなら、タイミング投資では、この気持ちと正反対の行動をとる必要があります。心理的にその判断が難しい上に、タイミングを当て続けて売買することはほとんど不可能です。
そこで、短期の市場動向や売買タイミングを気にせず、長期で自分にとって必要だと思う資産を、定期的に同じ金額ずつ積み立てていれば、結果的には「安い時に多く、高い時に少なく」買い付けることになります。
たとえば、1万円ずつ投資した場合に、買い付け時のファンドの基準価額が以下のように変動すると、買い付け口数はカッコ内のように変動するわけです。1万円(1万口)→1万1000円(9090口)→9千円(1万1111口)。これが、投資の入門書などでよく聞く「ドルコスト平均法」という投資法です。
さて、投資した資金は時価で変動するので、上昇することも下落することもあります。しかし、投資口数は着実に増え続けます。積立を始めた当初10年程度は、あまり投資効果を実感できない場合もあります。実は、多くの投資家は投資期間10年以下の投資をしています。これでは自分で時間を敵に回しているとも言えます。積立投資は、長期で続けるほど複利効果が期待されるので、何よりも続けることが大切です。(第6回で取り上げたリバランスは、軌道の調整であって、投資の基本方針は継続していくものです)
ここでは、4資産分散投資と定期預金を積み立てた場合を比較したグラフをご紹介しましょう。2008年の株式市場の下落と円高は強烈ですが、それでもこのように長期での積み立て効果ははっきりとわかります。みなさんが生まれた頃、あるいは就職した頃から1万円ずつ投資していたら…などと、自分史にあてはめて想像しながらごらんください。
何に投資をするか? 向いているファンドは?
では、どんな資産に積み立て投資すればよいでしょうか?
基本は、資産形成の中核となる投資対象をコツコツ増やして行くことでしょう。
もし現在ある程度の投資をしている方なら、投資している資産全体の姿をざっと見てください。日本と海外の株式、債券の4つの資産について、自分に足りない資産や大きく値下がりしている資産を積み立て投資でリバランスして、形のよい資産構成にもどすことができます。あるいは、今まで日本株や海外の株でも、テーマや特定の国に集中投資をしている部分が多かったなら、もっと幅広く世界全体や、様々な業種に投資するオーソドックスな商品を追加することできます。また、短期で儲ける手段としてではなく、資産の中核の一部として、長期で資産形成のエンジンとすることが期待できる新興国の株式や債券などを積み上げていくこともできます。
まだ資産運用をしていない方なら、まず、自分の資産作りの中核となる投資対象のシンプルなファンドを選びましょう。資産規模が小さいのでリスク資産への運用をためらっている方でも、少額ずつ、タイミングもずらしながら積み立てで増やしていく方法なら、日本株式やグローバル株式などリスクが高いと言われる資産にも、投資することができるのではないでしょうか。
資産形成に向いているのは、①分配回数の少ない(年1回か2回程度)、②ある程度の資産規模のある(繰上げ償還リスクが低く、継続的に投資家が購入している)、③内容がわかりやすい(インデックスファンドやファンドの性格がよくわかるアクティブファンド、シンプルなバランス型ファンドなど)、ファンドです。1月26日現在、投信スーパーセンターで取り扱っているファンドで、①積立投資に対応している、②50億円以上の純資産がある、③運用開始から3年以上経っている、④分配が年1回か2回、という条件で検索をすると、56本のファンドが該当しました。なぜ運用開始から3年以上としたかというと、過去のファンドの値動きが確認できるからです。どの程度の値動き幅があるのかを、グラフなどで見て実感することで、そのファンドを資産の中でどのくらいの割合保有してもよいか、自分で判断する材料になります。
ただし、今まで預貯金で積み立て(社内預金や財形貯蓄、給与からの天引きの積立などでもOK)をしたことがないなど、預金ゼロの方は、当面は最低でも投資と同額の預金の積み立てをすることをオススメします。
島田知保(しまだちほ)
イボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社 月刊「投資信託事情」発行人・編集長。東京生まれ。文部省宇宙科学研究所、衆議院議員公設秘書などを経て1995年より現職。創刊50年の投資信託専門誌「投資信託事情」は、愚直に経済・金融の社会的役割を追求する硬派な雑誌。投信関連調査、ソフト開発・開示資料・広報活動へのアドバイス、各種セミナー講師なども務める。 また、社会的責任投資(SRI)、責任投資原則(PRI)という考え方の普及に努めている。TBSテレビ「ブロードキャスター」コメンテーター、日経ラジオ「マーケット・トレンド」 ほか出演。岩波ブックレット「金融商品Q A」(共著)、教職員共済組合「共済だより」連載、ほか新聞、雑誌への執筆など。
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第02回 下落局面でパニクるか、ルンルンか?
第03回 注目のテーマ投資と地球環境
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