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島田知保の“‘あんしん’投信活用法”
<第1回:春を信じて、行動する人がいる>
講師:島田知保 (月刊「投資信託事情」発行人・編集長)
新社会人が着慣れないスーツ姿で先輩と歩くほほえましい姿が見受けられる季節です。
企業の厳しい状況や派遣の問題、高齢化ニッポンの行く末など、必ずしもばら色の未来ばかりではないでしょう。それでも若者には未来があり、その未来には様々な可能性があるのだと、まぶしく感じています。
マーケットも、このまま回復とはいかないかもしれませんが、若干明るさを取り戻しつつあります。
株式市場は、実際の景気回復が実感されるより早く上昇を始めます。時には、まだ経済に対しての悪材料と思われるニュースが出回っている時期から上がり始めることもあります。そうすると、「まだ早い、また悪くなるかも」という心理が働いて、なかなか実際の投資を行うことができないものです。
こういう時には、三つのことを思い出してください。カメラを後ろに引くと撮影範囲が広がるように、視界がぐっと広く、時間線も長くなります。
一つ目は、春が来ない年は無い、つまり永遠に下がり続ける市場は無いということです。
二つ目は、マーケットの底も天井も、誰にも予言できないということです。
三つ目は、資産運用をするか、しないかは、自分次第。誰のためでも、誰のせいでも無く、自由に決めればよいということです。
資産形成の最大の味方は「時間」
これから資産を積み上げていく時、最大の味方は「時間」です。「もう少しお金ができてから」と考えて先延ばしにしていると、貴重な時間を無駄にするだけでなく、いつまでたっても運用などできないかもしれません。
預貯金で考えるとわかりやすいでしょうか。同じ収入でも、コツコツ積み立てる人、全部使う人、気が付けば多数のローンや債務を抱えている人…どのように暮らすかは、自分次第なのです。
そしてその間に着実に減っていくもの。それが自分に与えられた「時間」という味方のエネルギーなのです。
ですからお手本にするべきは、自分で決めて行動している人。ムリなく時間を味方につけて、できることから実行していく人です。
そこで、資産形成をする時の便利な道具が投資信託です。少額から好きな投資対象を選んで、自分が決めた時にいつでも分散投資ができることが、便利さの根拠です。長期で投資信託を利用して資産つくり…これを積み立て投資や、リピート活用していくことで、時間を味方につけて運用ができるというわけです。
う~ん、いいことづくめですね。ところが!長期で利用しようと考えても、もし賞味期限が短い商品ばかりだったらどうでしょうか?
実は、そこに投資信託選びの最大のポイントがあるのです。
3月末現在約2800本ある公募の追加型投資信託ですが、投資家が買い越し(解約より購入の金額が多く、資金が流入していることです)した月が1年間続いているファンドは、たった42本しかありません。もし、資金が流出を続けていけばその分、ファンドの規模である純資産はどんどん小さくなってしまいます。その結果、「無期限」のはずのファンドが「純資産が小さくなりすぎると、投資家のためによい運用が続けられない」ことから「繰り上げ償還」といって、期限前に終わってしまうことさえあります。
これでは長期でお付き合いしようと思っても、相手に裏切られたような気になってしまうでしょう。
その点、積み立て投資が主流のファンドなら、放っておいても投資仲間の資金が積みあがっていきます。ですから、積み立てに対応していて、投資家が増えているファンドは、長生きする可能性が高い耐久力のあるファンドと言えます。
自立した投資家が活用するファンド
そこで、資金が流入し続けているファンドの中から、自立した投資家がどのようにファンドを活用しているかが良くわかる例を取り上げてみましょう。「インデックスファンド225」というファンドで、20年前の6月から運用されているご長寿ファンドです。
グラフは、折れ線が基準価額の動きを、棒グラフが各月の資金の流出入(「購入された額-解約された額」)を表しています。
よく見ると、基準価額の動きと、資金の流入・流出の傾向に関連する動きがあるのですが、お気づきでしょうか?
そう、基準価額が下がると購入者が増えて資金が流入し、基準価額が上がると解約が増えて資金が流出しています。
このファンドは日経平均株価に連動する値動きを目指す商品です。つまり、一般の方にも値動きが想像しやすく、「安いから買っておこう」「この程度上がったから利益を確定しよう」という目的で使う道具として、解りやすく便利なものです。
グラフ中の矢印は、市場の大きなトレンドを表しています。そして、資金の動きは矢印とは反対側に出ているように見えます。特に下がったときに買う、という傾向が強く出ています。下がっている時に買っておくことは、長期での資産形成の王道です。
タイミング投資を勧めているように思われるかもしれません。しかし、短期のタイミングを追いかけて利益を出そうと考えているだけでは、なかなかこのような行動はできません。
春が来ない年は無いと信じて、マーケットの底や天井を取ろうとせず、自分で判断してコツコツ運用する意志があるからこそできることなのです。
島田知保(しまだちほ)
イボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社 月刊「投資信託事情」発行人・編集長。東京生まれ。文部省宇宙科学研究所、衆議院議員公設秘書などを経て1995年より現職。創刊50年の投資信託専門誌「投資信託事情」は、愚直に経済・金融の社会的役割を追求する硬派な雑誌。投信関連調査、ソフト開発・開示資料・広報活動へのアドバイス、各種セミナー講師なども務める。 また、社会的責任投資(SRI)、責任投資原則(PRI)という考え方の普及に努めている。TBSテレビ「ブロードキャスター」コメンテーター、日経ラジオ「マーケット・トレンド」 ほか出演。岩波ブックレット「金融商品Q A」(共著)、教職員共済組合「共済だより」連載、ほか新聞、雑誌への執筆など。
この講座のほかの回を見る
第01回 春を信じて、行動する人がいる
第02回 確認したいチェック・ポイント
第03回 やめない、休まない、ムリしない
第04回 タイミングは忘れて、トレンドを見る
第05回 資産構造にも「耐震性」を
第06回 分配金ニーズは、人それぞれ
第07回 やっぱり卵は複数のカゴに分けて
第08回 自分流資産配分を考える
第09回 積み立て運用の強い味方、「ノーロード」
第10回 リバランスの効果を実感する
第11回 情報を見るとき、自分の「色眼鏡」を意識しよう
第12回 状況が変化したら資産配分も見直そう
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