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島田知保の“‘あんしん’投信活用法”
<第2回:確認したいチェック・ポイント>
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講師:島田知保 (月刊「投資信託事情」発行人・編集長) |
投資家にとって、どんな投資信託をどこで購入するかは、悩ましい問題です。何しろ追加型投資信託は2,800本もあり、その上毎月数十本の新ファンドが発売されます。
あくまでも判断は自分で下すという'あんしん'運用のために、様々な情報やその提供のされ方、そして情報の中で重要なことを見分ける'情報知力'を磨きましょう。そこで、今回は主に購入前に目論見書から知っておきたいチェック・ポイントを再考してみましょう。
参考にするのは、5月13日に発表された「世界16ヵ国で行なわれた投資信託についての投資家の立場に立った調査」です。米国の投信評価会社であるモーニングスターが行なったもので、対象国は米国、中国、日本、台湾、オランダ、イタリア、カナダ、フランス、スイス、英国、シンガポール、オーストラリア、ドイツ、香港、スペイン、ニュージーランドの16ヵ国(日本での調査はイボットソンが協力しました)。下表の6つの項目についてアンケートと電話による聞き取り調査を行ない、質問ごとに配点して、項目ごとと、その結果を受けた総合評価としてA~Dの格付けが与えられました。調査でチェックされた質問項目が、投資家が知っておいた方がよい重要なことや、投資家のためにはあった方がよいことの、チェック・ポイントになるわけです。
目論見書から知るべきこと
購入前の情報として特に大切なのが目論見書です。しかし、量が多くて細かすぎて、大変読みにくく、わかりにくい、というのは万国共通のようです。
日本は、総合評価では米国、中国に続き第3位となりましたが、開示書類(目論見書・運用報告書)の項目では16ヵ国中第10位と、評価は真ん中以下でした。日本の投信業界も、わかりにくさを打開しようと取組んでおり、読みやすい目論見書を作るための改革が現在も進行中です。ちなみに、フランスでは要約目論見書は6頁程度にまとまっているそうです。そのくらいの量なら、全部きちんと読む気になりますね。
さて、目論見書では、【1】ファンドの運用目的、【2】投資対象(株か債券か、どこの国の資産か、どんな通貨かなど)、【3】ファンドおよび投資対象に付随するリスクの中身(株価の変動、金利、為替など)と水準(過去どの程度の幅の値動きがあったか)、【4】運用者(ファンドを作った運用会社と異なる場合もある)、【5】コストと費用(購入手数料、信託報酬、信託財産留保額)などを必ずチェックしましょう。
日本の目論見書には、【3】のリスクの水準(程度)以外は全て記載されています。それなのに、なぜ、日本の評価は低かったのでしょうか。大きな理由は、記述があまりに一般的・概説的で、ファンドそのものについての理解を深める助けになっていない場合が多いからです。また、請求目論見書(たいてい合冊で後ろの方についている)と比べて、投資家に必ず配付される交付目論見書が要約版となっておらず、頁数が多くて読みにくいこと、なども低評価の理由となりました。
| 日本の評価 |
調査項目 |
確認のポイント |
| B+ |
【1】投資家保護 |
法律や監督機関とその実効性(人員数など) |
| C+ |
【2】目論見書・運用報告書の透明性 |
目論見書…わかりやすさ、投資目的、投資対象とリスク、運用者情報、コスト 運用報告書…開示頻度、運用成績、投資内容、保有銘柄、リスクの所在と程度、運用者のコメント、過去のコスト履歴、ファンドマネジャーの在籍期間など |
| A |
【3】販売とメディアの透明性 |
販売…内容、コストの説明、販売促進活動の内容 メディア…広告ではない情報の露出度、教育的価値長期投資、コストの重要性などを伝えているか |
| B- |
【4】報酬と費用 |
販売手数料、信託報酬、その他費用…水準、比較可能か |
| C |
【5】税制 |
長期投資奨励の税制…年金(DC他)、長期投資への税優遇 |
| A |
【6】販売/商品の多様性 |
販売…ルートの多様性、最低投資額の低さ、ネット販売など 商品…パッシブ・ファンドの充実、分配金の受取/再投資の選択、マザーファンドなどの活用 |
※文字色の青いものは、日本の評価が低かったもの。
足りない情報は自分でゲットする
この調査では、日本で足りない開示項目として、ファンドマネジャーの名前や継続勤務年数(運用方針の安定性を推察できる)、コストが比較しやすい同一の開示形式を採用していない、1年、5年など保有した場合の実際のコストのおよその金額などが具体的に示されていない、などが指摘されました。これらの情報も、投資家にとっての“わかりやすさ”につながるので、ぜひ今後開示に努めてもらいたいものです。
また、ファンドや保有資産のリスクや、どの程度の値動きの幅があるか、どんな局面でどんな値動きをするかなどは、ファンドの保有を考える投資家にとっては重要な情報です。しかし、それらの情報は一般論しか記載されていない場合がほとんどです。複数のファンドに投資する商品の場合には、ファンドその全体像が解りにくい場合もあり、開示方法を工夫していく必要があるでしょう。
そこで投資家としては、月次レポートや販売用資料、運用会社のwebサイトなどで、このような情報を補う努力を運用会社がしている場合もあるので、補完情報として、ファンドの週次・月次のレポートや運用会社のwebサイトもチェックしておきましょう。これらの開示が親切で充実している場合は、必要に応じてアクセスでき、長期で保有している間の不安が少なくてすみます。
また、投信スーパーセンターの“検索結果”頁では、コストやパフォーマンスのタグを開くと、ファンド間の比較が簡単にできます。ある期間に最大でどのくらい値下がりしたか(最大下落率)を購入前に見ておけば、投資する資金性格をもとに、購入金額を決める目安になります。昨年来の最悪の期間を経た結果ですから、そこまでの下落は将来そうしばしば起こることはないだろうなど、自分で心積もりできる材料になります。
また、個別ファンド名を開くと、過去の運用推移のグラフや基準価額ほか、ファンドごとの情報も充実しています。あくまでスーパーセンターで販売しているファンドに限りますが、これらの情報開示は投資家の視線で作られた使い勝手のよいものなので、ぜひ参考になさってください。
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島田知保(しまだちほ) |
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イボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社 月刊「投資信託事情」発行人・編集長。東京生まれ。文部省宇宙科学研究所、衆議院議員公設秘書などを経て1995年より現職。創刊50年の投資信託専門誌「投資信託事情」は、愚直に経済・金融の社会的役割を追求する硬派な雑誌。投信関連調査、ソフト開発・開示資料・広報活動へのアドバイス、各種セミナー講師なども務める。 また、社会的責任投資(SRI)、責任投資原則(PRI)という考え方の普及に努めている。TBSテレビ「ブロードキャスター」コメンテーター、日経ラジオ「マーケット・トレンド」 ほか出演。岩波ブックレット「金融商品Q A」(共著)、教職員共済組合「共済だより」連載、ほか新聞、雑誌への執筆など。
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