投資信託なら投信スーパーセンター! by 日興コーディアル証券
詳細検索
投資信託の投信スーパーセンター HOME
>
投スパカルチャーセンター
>
特別講座
> 伊藤宏一の“パーソナルファイナンスの日本的方法”第1回
特別講座一覧へ戻る
伊藤宏一の“パーソナルファイナンスの日本的方法”
<第1回:東アジア半月孤と投資 -昆明から日本を見る->
講師:伊藤宏一(千葉商科大学大学院教授)
もうじきGDPが日本を超える中国。「新興国」と言われていますが、本当は「再興国」です。前漢時代の紀元零年、世界のGDPの35%は中国で第1位、25%のインドと併せると世界経済の6割だったそうです。その後ずっと発展しますが、1840年のアヘン戦争でこれが急落。戦後の文化大革命で5%程度でしたが、改革開放路線で再興していきます。中国のこの再興は今後どうなるのでしょうか。
中国雲南省の省都である昆明(こんめい)。ここは、文化的には照葉樹林文化のルーツで、一万年におよぶ縄文時代、ここから長江の南側を経て西日本に照葉樹林文化が伝わってきました。東アジアの植生分布は、長江(揚子江)流域を基点として、常緑広葉樹林帯(南側)、落葉広葉樹林帯(北側)、および乾燥地帯(西側)の三つに分かれます。このうち北側がナラ林帯、南側が照葉樹林帯です。常緑のカシ類のほか、シイ、タブ、クス、ツバキなどのように葉の表面に光沢のある常緑樹でおおわれているので照葉樹林と呼ばれていて、モンスーンの影響を受けて豊かな常緑の森林を形成しています。宮崎アニメの世界は「風の谷のナウシカ」も「となりのトトロ」も「もののけ姫」もすべて照葉樹林の世界です。
照葉樹林地帯は驚くほど共通の文化を持っています。お茶・ソバ・納豆・なれ鮨・豆腐・コンニャク・酒・味噌・山菜。発酵系を始めとする故郷の味と言われるほとんどの食べ物が、照葉樹林に源を発しています。また羽衣伝説・サルカニ合戦・花咲爺などの昔話、さらに鵜飼いもそうです。絹織物・草木染め・紙漉き・漆等の伝統工芸も照葉樹林から生まれました。照葉樹林帯の民族は、日本のうるち米のようにねばり気がある米が好きです。正月やお節句に餅つきが行われるのは、照葉樹林帯の共通した伝統です。そのルーツが海抜二千メートルの雲南高地の昆明を中心とし、西はアッサムから東は中国の雲南省に至る半月形の地帯で「東亜半月孤」と言われています。
昆明はまた唐の時代には、シルクロードの重要拠点でもありました。シルクロードを通って来たチベット、ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナムなどの人達が気候の良いこの地に腰を落ち着けてそれぞれの文化を大切にしながら、他文化とも交流しチベット文化、イスラム文化などが融合した独特の文化圏になりました。
今、その昆明が新たに注目されています。東アジアの交通センターの役割です。ご存じの通り中国では高速鉄道網の建設が進んでいます。「四縦四横」のルートと呼ばれていますが、北京~上海間高速鉄道計画に続き、上海~昆明間高速鉄道の建設工事が今年2009年中に開始されます。工期は5年で、ルートは上海から杭州、南昌、長沙、貴陽を経由し、昆明まで。総延長2066キロメートルで、完成すれば中国で最も長い旅客用鉄道となります。時速350キロ対応で設計され、上海から昆明までは約10時間と、現在の37時間と比べ大幅に短縮されるそうです。
また今年8月16日、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の閣僚会合がバンコクで開催され、東南アジアと中国をむすぶ輸送網整備の基幹事業と位置づけるシンガポール-昆明間の鉄道整備を2015年までに完了させることを再確認し、協力の継続で一致しました。将来的には、ハノイと昆明が便利につながることも予想されます。高速鉄道網以外にも貨物鉄道の整備や東アジアハイウェイの展開は、東アジア全体の人とモノの交流と流通を飛躍的に拡大させる可能性があります。来年の上海万博以降の、中国農村部における内需拡大の基盤としてこうした動きは重要です。
照葉樹林文化のルーツである昆明。遙かな時を経て、東アジアの交通センター・経済センターとして「再興」していくのであれば、私たちは、そうした中国への投資を「文化のふるさとへの投資」という感覚でとらえ、その発展を支える視点から考えることができるのではないでしょうか。
伊藤宏一(いとうこういち)
千葉商科大学大学院教授。税理士、CFP®認定者・日本FP協会常務理事、株式会社ポラーノ・コンサルティング代表、税理士、ファイナンシャル・プランナーとして、企業・労働組合などでライフプランセミナー・個人相談を実施するかたわら、講演、金融機関などのセミナー、雑誌・新聞などの執筆、テレビ・ラジオなどに出演。
主な著書・論文に『ライフプランニングー理論と実例』(2007年セールス手帖社)、『金融商品なんでも百科』(平成20年度版 監修 金融広報中央委員会)、『独立投資家宣言』(共著日経BP社)、『なる本FP』新訂版(2009年7月 週間住宅新聞社)、など。
この講座のほかの回を見る
第01回 東アジア半月孤と投資 -昆明から日本を見る-
第02回 アメリカ人にライフプラン型FPのニーズ
第03回 旧暦の知恵
第04回 禅の精神と自然エネルギー革命
第05回 老子と柔軟な投資スタイル
第06回 山の神講と環境ファイナンス
第07回 和事と荒事の組合せ-日本的ポートフォリオ感覚
第08回 渡辺崋山の八訓八勿(はちくんはちぶつ)― 企業を見る目
第09回 近江商人と長期投資の知恵
第10回 江戸時代の先物取引
第11回 日本人は実は変動相場に慣れていた
特別講座一覧へ戻る