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リスクはリターンの種
2007年5月21日
仕事柄、運用会社から直接ファンドの説明を伺う機会が多いのですが、先日、香港に支店があるヨーロッパ系の運用会社を訪ねた際、非常に印象的なことがありました。ファンドの担当者が、「今後の課題は、もう少しボラティリティを大きくすることです」という言葉で、レクチャーを締めくくったのです。
「ボラティリティ」というのは、一定期間内の価格の変動幅のこと。具体的には「標準偏差」*1ではかることが多いようです。一般的に、運用の世界で「リスクが大きい」といえば、このボラティリティ(≒標準偏差)が大きいことを指しています
日本の投資家向け説明会で、このような表現をすることはおそらくご法度でしょう。「リスクは小さいほうがいい」という固定観念から、投資家が敬遠するのが目に見えているからです。
しかし、リターン(収益)はリスクをとった裏づけとして得られるもの。言い換えれば、リスクがあってこそ、高いリターンを産むことができるのです。「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」と言われるように、もう少しリターンを増やしたければ、引き受けるリスクを上げなければならないのが、運用のお約束。つまり、この担当者は、「もう少し多目にリスクをとって、期待収益率を上げていく」と言っていたのです。その背景には、リスクは自分たち(運用会社)の手中で十分にコントロールできるという自信、リスクとリターンが表裏一体の関係にあることを正確に理解している投資家の成熟度が感じられました。
日本では、投資に関する十分なリテラシーが広がっていないため、こうしたリスク・リターンを明確に把握したうえで、ファンドを選ぶ習慣が根付いていないのが現状です。しかし、「投資信託の存在意義はリスクのコントロールにある」と言っても過言ではありません。ファンド選びの際には、基準価格の騰落率だけに目を奪われるのではなく、そのファンドがリスクに対してどういう考え方で運用されているかを確認することが大切です。
もちろん、一定のリターンを得るのにとるリスクは小さいほうがいいに決まっています。そのためには、「シャープレシオ」*2という指標が便利。同じカテゴリーのファンド同士で比べた場合、数字が大きいほど、効率的にリターンを得ていることになります。投資信託のリスクをはかる指標は、他にもさまざまありますが、まずは標準偏差とシャープレシオをチェックすることから始めましょう。
*1:標準偏差
平均から見たバラつきの度合いを示したもの。標準偏差が大きいほど、価格の変動幅が大きい(=リスクが大きい)といえる。
*2:シャープレシオ
投資の効率性を示す指標。リスクが同じであればリターンは大きいほうがよいため、リスク1単位あたりのリターンを求めることで、異なるリスク・リターンを持ったファンド同士を比較することができる。シャープレシオを計算する際のリターンは、リスクを取ることで追加的にどれくらいリターンが得られたかを意味する「超過リターン」を用い、標準偏差で割って計算される。なお、超過リターンは、実際のリターンからリスクを取らずに得ることができるリターン(無リスク資産のリターン)を差し引いて計算される。
株式会社プラチナ・コンシェルジュ 代表取締役/生活経済ジャーナリスト/CFP®
和泉 昭子
プロフィールとコラム一覧
横浜国立大学卒業後、出版社・放送局を経て、フリーのキャスターに転身。 NHKを中心に、ニュース・情報番組を担当。
95年CFP®(ファイナンシャル・プランナー上級資格)取得後、現職へ。現在は、メディア出演や講演活動、個人相談などを通じて、マネー&キャリアの情報を発信。
・テレビ、ラジオのコメンテータ
・新聞、雑誌、書籍の執筆、監修
・企業、労働組合、金融機関、地方公共団体などが主催する
他、講演、セミナー、パネルディスカッション、研修など多数
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本ページの掲載内容は、寄稿された執筆者の考え方や見方を紹介するものであり、当社が特定の金融商品や投資信託の個別銘柄を勧誘・推奨するものではありません。