資産運用セミナーなどで投資信託に対するイメージを聞いてみると、「少額から分散投資ができる」というメリット以上に、「元本が保証されない」というマイナスイメージのほうが大きいように感じます。確かに、投資信託は元本保証されないリスク商品。基準価格は毎日変動します。投資に慣れていない方にとっては、どれくらい値動きするのかイメージできないことで、余計にハードルが高くなるのかもしれませんね。そこで今回は、前回ご紹介した投資信託のリスクについて、標準偏差を例に、もう少し踏み込んでご説明しましょう。
まず、リスクとは、期待リターンからのばらつき度合い、あるいはぶれ幅のことを指します。たとえば、ゴルフで目指すホールに向かい、繰り返しボールを打っているとしましょう。プレイヤーはできるだけホールに近い距離に(できればホールインすることを期待して)打とうとするわけですが、実際のボールはあちこちに散らばります。このとき、ホールとそれぞれのボールとの離れ具合が、不確実性(リスク)のあらわれです。
では、リスクの大きさをはかる代表的な指標である「標準偏差」について、具体的に計算していきましょう。プレイヤーが打ったボールのホールからの距離が以下のような場合、標準偏差はいくつになるでしょうか。
<標準偏差の計算手順>
| (1) |
データの平均値を出す |
| (2) |
各データの平均値からの乖離(=偏差)を計算する |
| (3) |
各データの偏差を二乗し、その平均を出す(=分散)
(プラス・マイナスの符号の影響をなくし、平均からの離れ具合だけに注目するため) |
| (4) |
平方根で単位を元に戻す |
上の表から、標準偏差は28.43となります。つまり、このプレイヤーの打ったボールは、ホールから平均して90cmほど離れ、実際にはその周辺28cmくらいの範囲に散らばっているというイメージです。
ところで、ドライバーのように遠くへ飛ばせる可能性があるクラブを使う場合、短いクラブを使うよりも、一般的に散らばり具合は大きくなります。飛距離を伸ばすのが得意なドライバーを「株式」、飛距離よりは安定感を優先させるときに使う短いクラブを「債券」と置き換えてみましょう。大きなリターンを期待できる株式は一般にバラツキ(値動き)が大きく、相対的にリスクが小さい債券の値動きは安定的になるというのもうなずけますね。また、たとえばインド株ファンドといった具合に同じカテゴリーで比較した場合、もし同様のリターンを上げているなら、バラツキ(標準偏差)が小さいほうが「運用がうまい」ということになります。
将来のことはわからないので、実際には過去のデータを使って、各投資信託の実績を評価し、将来の予想へとつなげます。一般的に、「投資信託はできれば3年以上の運用実績があるものから選んだほうがいい」といわれるのは、その商品の過去の実績からおおよその評価ができるためです。