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投資商品と意思決定のミスマッチ
2008年11月21日
投資家には、試練の日々が続いています。ただ途方に暮れて模様眺めを決め込む人、含み損に耐え切れず、大きく下げている日に狼狽売りをする人、荒れた相場に果敢に挑んでいく人など、私の周囲でも対応はさまざまです。
いったいこのような場面では、どのように考え、振舞うのがいいのでしょうか。
投資の判断は、その人のリスク許容度や投資の目的などによって異なりますが、今の私は、「暴落に関する『ニュースの洪水』に呑み込まれるまい」と言い聞かせています。
バブルの頃、株価はどこまでも上昇するというムードがあったように、今のような時期には、株価が底なしで下がり続けるムードが蔓延し、メディアはそれを増大させます。そうして作られた「恐怖」の心理が人々の行動をシュリンクさせ、金融の世界から実体経済へと不調が飛び火していくのです。
ここで、投資信託の性質を再考してみましょう。
投資信託は、そもそも中長期の投資に向いた金融商品です。明け方にアメリカで暴落したと聞いて朝イチで売り注文を出しても、個別株のようにその時点の価格で売ることはできません。分散しているぶん値下がりしにくい反面、値上がりするにも時間がかかります。
これに対して、メディアの視点は多くの場合、超短期です。新聞は毎日発行するものですから、昨日と同じ内容では、情報としての価値がありません。速報性がウリのテレビでは、朝昼晩、時々刻々と情報を更新しなくては、「ニュース」と呼ぶことすらできません。そのため、常に「昨日」や「さっき」と比べた変化を、クローズアップして伝えることが多くなります。FXや個別株のデイトレなら話は別ですが、投資信託で中長期的投資を行うのに、超短期的な視点で捉えたニュースの洪水に溺れてしまっては、「投資商品と意思決定のミスマッチ」になりかねないわけです。
アメリカやヨーロッパの経済状況を考えると、しばらくは落ち着かない状況が続くことでしょう。恐慌となれば、回復には数年の期間を要するかもしれません。でも、混乱は永遠には続きません。また、急激な変動には、必ず揺り戻しもあるはずです。資本主義が崩壊するほどのパラダイムシフトが起こらないかぎり、マーケットから退避した資金もいつかは戻ってくるでしょう。
行動ファイナンスのプロスペクト理論によれば、人は利益に比べて、損失を2.25倍重く感じるとか。そんな人間の心理的なクセも知った上で、熱を帯びた報道を冷静に受けとめ、後悔のない意思決定をしたいものです。
株式会社プラチナ・コンシェルジュ 代表取締役/生活経済ジャーナリスト/CFP®
和泉 昭子
プロフィールとコラム一覧
横浜国立大学卒業後、出版社・放送局を経て、フリーのキャスターに転身。 NHKを中心に、ニュース・情報番組を担当。
95年CFP®(ファイナンシャル・プランナー上級資格)取得後、現職へ。現在は、メディア出演や講演活動、個人相談などを通じて、マネー&キャリアの情報を発信。
・テレビ、ラジオのコメンテータ
・新聞、雑誌、書籍の執筆、監修
・企業、労働組合、金融機関、地方公共団体などが主催する
他、講演、セミナー、パネルディスカッション、研修など多数
※
本ページの掲載内容は、寄稿された執筆者の考え方や見方を紹介するものであり、当社が特定の金融商品や投資信託の個別銘柄を勧誘・推奨するものではありません。