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相互補完的に拡大する世界経済、日本株投信に注目
2007年1月22日
日本経済にしても米国経済にしても、またそれを映す株価、為替相場、金利(債券相場)、金価格など過去2~3年の間に値動きのパターンが変わってきており、過去の事例や経験則が当てはまらなくなってきている。それをもたらしたのが、ヒト・モノ・カネが国境を越えて自由に行き来するという「金融経済のグローバル化」であり、そこにインターネットなど通信情報網の飛躍的な発達が加わることで経済のあり方、それを映す金融市場の反応自体が従来にないものになっている。
世界経済は各地域、各国それぞれが密接に繋がり互いに補完しあいながら成長するという新しいパターンが生まれている。社会主義など政治イデオロギー的な要素は後退し、市場経済という大きなくくりの中に皆が入っている。この大きな枠組の中で、例えば従来ならば維持不可能と思われた年間8千500億ドルにもなろうという米国の巨額の経常収支の赤字ですら、他国からの資金が滞りなく回ることで「ドルの暴落」などという事態には至っていない。資金を廻すほうにとっても、それは共存共栄の基となるからだ。米国の赤字の絶対額だけを切り取った場合、"とんでもない数字"ということだが、世界経済全体が急拡大したいま、赤字の相対的な位置関係はむしろ小さくなっていると考えるべきなのかも知れない。
この今ある世界がひとつになっての"持ちつ持たれつ"的な仕組がうまく働くためには、保護主義的な動きをはじめヒト・モノ・カネの流れを阻害するものが天敵ということになる。もちろん米国に赤字が極端に偏る不均衡が無際限に拡大可能とも思えぬが、2007年を見る上ではこの仕組は維持可能とみる。世界各国の金融当局にこの"新しい仕組"に対する認識が高まっていることと、新たな経済の流れが生まれているからだ。
「認識」という点では、グリーンスパン前FRB議長ならびにバーナンキ現議長が以前から講演などの機会を捉えては保護主義の台頭に警告を発しているのに加え、昨年開催されたG7(主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の討議内容を見ても、それを防ごうとの共通認識が出来ているといえる。
この面で不確実性という点を挙げるならば、「地政学的リスク」ということになる。不安定な中東情勢がまず浮かぶが、引き続き原油価格の動向と合わせて2007年も目は離せない。むしろそこに加わる要素として原油、天然ガスなどエネルギーの供給を材料にしたプーチン・ロシアの高圧的な外交姿勢は、延長線上にイラン核開発問題への対応という面で国際的な足並みを乱れさせる可能性すら予見させるため要注意ということになる。
新たな経済の流れについては、一言で表わすならば"米国だけが世界経済の牽引役"という構図に変化が出始めていること。いうまでもなく中国やインドなど新興国の経済拡大もあるが、ユーロ圏を中心とするEU(欧州連合)の景気が、域内の動きが活発化し予想外に好調を維持していることがある。米国の落ち込みをその他が補完する構図に移行しつつあるわけだ。年末に発表された企業景況感指数(108.7、ifo経済研究所発表)が16年ぶりの高さを示したドイツ。3%という戦後最大の引上げ率となる付加価値税の大幅な引上げを控えた状況のなかでの景況感の高さは、まさにサプライズといえる。同じドイツでは11月、12月と予想を超えた失業率の低下もみられている。ドイツ経済の好調さは、拡大が続いている欧州の象徴といっていいだろう。
それを映して、流通するユーロ紙幣の総額は、管理者であるECB(欧州中央銀行)の予想を超えて昨年末にドル換算約8千270億ドル(6千280億ユーロ)となり、ドルの7千827億ドルを上回っている。年始にスロベニアが加わりユーロ導入国は13カ国となったが、ユーロ流通圏はこの範囲にとどまっていないことを表わしている。予想を超えた好調ドイツの背景には、原油価格の上昇で潤ったロシア・マネーの流入を指摘でき、ここでも新たな流れが起きていることがわかる。
いずれにしてもこうした相互補完的な拡大のなかに日本経済も入っており、全体で見た場合に出遅れが目立つ日本株投信が今年の狙い目ではないかと思っている。投信の品揃えという面で注文を出すならば、もう少し金など商品分野に投資できるものがほしいと思う。そうなれば、個人投資家も機関投資家のようなポートフォリオが組めることになる。
マーケット・ストラテジィ・インスティチュート 代表取締役/有限会社生活設計塾クルー 取締役/AFP
亀井 幸一郎
プロフィールとコラム一覧
中央大学法学部卒業。
山一證券に8年間勤務後、1987年日本初のFP会社 マネー・マネジメント・インスティチュート(MMI)入社。FPおよび関連業務に従事。
1992年ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC/本部ロンドン)入社。企画調査部長として経済調査、マーケット分析に従事。1998年同社退社、執筆、講演、学校講師などの活動を開始。
2001年マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表取締役。日経CNBCテレビ、ブルームバーグTV、ラジオNIKKEIなどメディアでの市場分析、またロイター通信にてコラム「Insight」の執筆、住友金属鉱山サイトでの金市場を軸にした金融経済分析メールマガジン(Sumitomo Gold News)、日経マネー(デジタル版)にて金市場「マーケット詳解」を担当中。「史観と俯瞰」をモットーに金融市場から商品市場、国際情勢まで幅広くウォッチしている。
2005年5月から
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本ページの掲載内容は、寄稿された執筆者の考え方や見方を紹介するものであり、当社が特定の金融商品や投資信託の個別銘柄を勧誘・推奨するものではありません。