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春は曙…
「春は曙。やうやうしろくなりゆく山ぎは少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる」とは枕草子の冒頭の一説です。明け切れていない春の早朝はよい、という意味です。生命の息吹、芽生え、一日の始まりが体に伝わってきます。どんなに辛いことがあっても、再び訪れる朝が希望を運んできてくれる、俯いていた顔を少しもたげてみたくなる、春にはそんな不思議な力があるのです。
しかし、春が来るどころか、寒風吹き止まぬ真冬真っ只中なのが、日本の株式市場です。
日本の株式市場は米国に端を発したサブプライムローン問題の影響により、90年のバブル崩壊を彷彿させるような下落を記録しました。当初、マーケット関係者の多くはここまで下落するとは思っていなかったようです。なぜならば、多くの上場会社は最高益更新を続け、景気は戦後最長を更新し続けているという日本のファンダメンタルズに死角を見出せなかったからです。為政者も「米国発の暴落である以上、米国が落ち着けば戻ります。日本に問題はありません」という発言を繰り返していました。
でも、よく観察してみてください。サブプライムローンの当事者である米国の株式市場は高値から18%しか下落していないのに対して(高値14,198ドル、安値11,634ドル)、日経平均株価は2007年の高値18,300円から2008年の3月の安値11,691円まで、およそ36%の下落を記録しているのです。つまり、日本の株式市場は米国のそれより倍も下落しているのです。日本の経済が無傷でいられるはずがありません。よく思い出してください。アナリスト、株式評論家、経済学者そして政治家の予想は外れることがあっても、マーケットの数字は嘘をついたことがありません。これは過去の歴史が証明しています。私たちは36%という下落の重みを考えなくてはならないのです。すなわち、日本の固有の下落要因がある、日本に問題があるということなのです。
改正建築基準法、改正貸金業法そして金商法などによる官製不況。小泉政権から安倍、福田政権と移り変わるとともに後退が顕著になった構造改革。そして日銀総裁人事などに象徴される政治の不毛等々。枚挙に遑がありません。実は問題が山積しているのです。
さて、そうした状況下の日本の株式相場の今後の見通しについて考えてみましょう。私は、目先の底値は先日の3月17日の11,691円で示現した、と考えています。昨年の6月20日の高値18,297円から8月17日の安値15,262円までの下落幅3,035円を15,262円から引くと12,227円という数値が算出されます(一目均衡表のE計算値※後述)。また、10月11日の高値17,488円から11月22日の安値14,669円までの下落幅2,819円を14,669円から引くと11,850円となります(E計算値)。また、2003年の底値7,603円から昨年の18,300円までの上昇幅の61.8%下げ、つまり黄金比(0.618)分下げた値段が11,689円となります。さらに、2002年5月の高値12,081円、2004年4月が12,195円となります。つまり、12,000円前後というのは下げ止まりやすい水準、節目と考えることができるのです。ですので、11,691円が目先の底値になる可能性は十分にあると考えています。
ただ、米国の株式市場動向によっては安値を更新する可能性が残っています。サブプライムローン問題より派生する実体経済の減速、後退がどの程度のものなのか。あれだけ大騒ぎしているにも拘らず、NYダウは高値から18%の調整で終わっていることが気がかりです。いくらサブプライムローン問題の対応が早いといっても各国の株式市場と比べても下落率は軽微なのです。したがって、今しばらく米国株式市場、景気動向を睨みながらの投資スタンスが続くことになるでしょう。本当に軽微であれば、もちろん先日の安値が底値になりますが、そうでない場合には…心の準備をしておいた方がいいでしょう。心の片隅で結構です、今しばらく私の言葉を覚えておいてもらいたいと思います。
※一目均衡表のE計算値 一目均衡表とは、マーケットで大変人気のあるテクニカル分析のことで、“時間”に重きをおいて分析を行うところに特徴があります。一目均衡表には、時間論、波動論、水準論という理論がありますが、なかでも水準論は値幅観測論とも言われており、目標値を計算するときに使われます。代表的な4種類の数値の1つ「E計算値」とは、AからBまで上がった分を調整後今度はBに足した分まで上がることを言います。
(例)
予想される高値E=直近の高値B+(B-安値A)
つまり、予想される安値A=B-(E-B)
文中での
具体例(1):A=15,262円-(18,297円-15,262円)、15,262円-3,035円=12,227円
具体例(2):A=14,669円-(17,488円-14,669円)、14,669円-2,819円=11,850円
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経済評論家
川口 一晃
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ファンドマネージャーを経て、現在は経済評論家として活躍。 03年からはラジオ番組『ドットコムマネー塾』(ニッポン放送)のパーソナリティとしても人気を集める。著書は、『儲けるための株価チャート練習帳』(角川書店)ほか多数。 |
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本ページの掲載内容は、寄稿された執筆者の考え方や見方を紹介するものであり、当社が特定の金融商品や投資信託の個別銘柄を勧誘・推奨するものではありません。 |
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