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住宅ローンの繰上返済 VS 資産運用 ~ 繰上返済の本当の効果とは? ~
この時期、ボーナスの運用先をまだ決められずに普通預金口座に眠ったまま…、という人も結構いらっしゃるかもしれません。特に、住宅ローンを返済している場合は、投資信託などで運用に回すか、預金で様子を見るか、それとも住宅ローンの繰上返済に回すか、選択肢が多い分、気がついたら時間だけが過ぎていた…、なんてことも多いみたいです。
そこで、今回は、「繰上返済に回すか、それとも運用に回すほうがトクか?」という疑問を解決するための指針となるよう、繰上返済の「本当の効果」をお伝えします。
まず、下の<図1>をご覧ください。3,000万円を金利3.0%、30年返済で借りた人が、36回目(3年後)の返済時に100万円強の予算で一部繰上返済(期間短縮型)を行った場合の例です。
この場合、繰上げによって、36回目の残高である約2,806万円から100万円減った「2,706万円」程度にローン残高が減りますので、その辺りの金額をローンの償還予定表から探すと「54回目」(約2,703万円)。この結果、「54回-36回=18回分」の期間短縮となり、この繰上げ(1,035,655円)による利息軽減効果は「総額:1,241,003円」だと計算できます。
ここまでは一般的な繰上返済の効果についての説明ですが、今回重要なのはここから先のお話です。
実は前に述べた約124万円の利息軽減効果は、今後27年間(30年-3年)の「トータル」の金額であって、繰上げを行った瞬間にこれだけトクするわけではありません。この先1年間で実際にどれくらいトクするかを確認してみましょう。
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<図2>をご覧ください。繰上げをしなかった場合、1年後(48回目)の残高は「27,377,985円」。一方、繰上げを行った場合は返済回数が54回目に飛びますので、その1年後は「66回目」となり、残高は「26,310,829円」です。この結果、繰上げをしなかった場合と行った場合との1年後の残高の差額は「1,067,156円」(27,377,985円-26,310,829円)になりますね。でも、このうちの「1,035,655円」は繰上げで自分が支払った金額ですのでこちらを差し引くと、繰上げによる1年間の実際の効果は「31,501円」(1,067,156円-1,035,655円)でしかないことがわかるでしょう。この金額は、約103.6万円の繰上げ返済額に対して「3%」程度の割合ですので、図のローンを繰上返済した場合は、「繰り上げした金額が年3%程度で借金を減らす運用をしてくれる」ということになるわけです。この「3%」というのは、もうおわかりですね。…そう、「借りているローンの金利」なのです。
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繰り返しますが、さきほどの「約124万円の利息軽減効果」というのは、あくまでも今後27年間の「トータル」の金額であって、繰上げを行った瞬間にこれだけトクをするわけではありません。この例では、約103.6万円を繰上げに回さずに運用して1年後に税引き後約106.7万円以上に増えるのであれば、「繰上げをしないで運用に回した方がトク」だということです。また、将来的には繰上げをするとしても、いまではなく殖やしてからのほうが有利だとも言えますね。つまり、税引き前だとこの1年間で4%弱の運用が可能かどうかが、いま繰上げを行うべきかどうかの損得の判断基準となるわけです。
ちなみに、いま繰上げをした場合は「342回目」(360回-18回)で返済が終了しますが、行わなかった場合はその時点で「約222.3万円」の残高があります。繰上げに回すはずだった「103.5万円」を25年半(342回-36回)運用して約222.3万円にするには、どれくらいの運用が必要かというと、やはり「年3%」(税引き後)なんですね。25年後には2倍強になるような運用(=年3%程度の運用)ができると思うなら、繰上げはしなくてもいいというわけです。
結論としては、繰上返済は「ローン金利のパワーで借金を減らす運用をする」ことに相当します。したがって、いま借りている住宅ローンの金利が低い人ほど、繰上返済による効果は少ないわけで、
(1)ローン金利以上で殖やせる時代(あるいは殖やせる人)にとっては、繰上げよりも運用がトク
(2)殖やせる時代(あるいは殖やせる人)は、早く繰上げをするより、殖やしてから行った方がトクだということになるでしょう。以上の点とご自身のローン金利から、繰上返済をするか運用するかの判断を下してみてください。
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有限会社ストックアンドフロー所属/CFP®
新倉 由紀
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東京都出身。証券会社、商品先物取引会社の営業職を経て、現在は独立系FP会社「ストックアンドフロー」に所属。企業研修や一般向けの各種セミナー、FP養成講座で講師をつとめるかたわら、趣味である手話を活かして障害者に対するセミナーおよび相談業務など独自の活動も行っている。 実践・実体験をもとに原稿を執筆し、「心と体のバランスをとりながらお財布も豊かになってほしい」との思いから、顧客が抱えるマネー面以外の悩みにも耳を傾けるFPとして、日々活動している。 各種セラピーを学ぶ一方、1級小型船舶操縦士、調理師免許を持つ好奇心旺盛なFP。 1級FP技能士。 主な書籍(監修) 「日本一やさしいネット株の学校」ナツメ社 「かんたん袋分け いきいき家計簿」永岡書店 |
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本ページの掲載内容は、寄稿された執筆者の考え方や見方を紹介するものであり、当社が特定の金融商品や投資信託の個別銘柄を勧誘・推奨するものではありません。 |
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