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投資家保護の法制と自己責任の原点
2007年12月10日
日本版ビッグバンによって過去10年間程で金融環境は大きく様変わりし、個人金融資産の受け皿となる金融商品の品揃えは、選ぶのが困難なほど豊富になりました。しかしながら、高度な金融技術が発展し、それらの発展に知識や理解が伴わない投資家の間では、金融商品や取引に関して損害を被ることも増えています。近年、金融・資本市場の国際化が進み、欧米を中心に諸外国では、金融市場に関する法律や環境の整備が進んでいますが、それらと比較して日本での整備は遅れていたのが実状です。その中で、私たちは、基本的に自己責任で自分の資産をどのような金融商品で運用し、どのように資産設計を行なっていくのかを考えて実行する時代を迎えています。
このような背景の中で、「投資家保護」と「貯蓄から投資へ」の健全な環境作りを促進することを目的として施行されたのが、今年9月30日にスタートした「金融商品取引法」です。この法律は、従来の「証券取引法」などを抜本的に改正して、金融商品ごとに販売や勧誘のルールが異なり法体系も別々だったものを一本化しました。また、投資判断に必要な情報の開示制度や金融商品を取扱う業者に関する規制などを定めて、投資家保護の徹底と健全な市場作りを目指しています。
今回の改正により金融商品が幅広く横断的に規制対象となるため、法の網から落ちこぼれる金融商品が従来よりも少なくなります。従って、株式や投資信託、金融先物取引、外国為替証拠金取引、金融派生商品(デリバティブ)など、元本割れリスクや元本超過損リスクを伴う可能性のある金融商品を包括的に規制することが可能となりました。
この法律では、金融商品の販売や勧誘の場面で様々な規制が強化されるので、投資家にとっては、
(1)元本割れリスクや各種手数料などの表示が明確化される。(広告の規制)
(2)投資家の資産状況や経験・知識などに加えて、購入目的に照らした商品を販売・勧誘しなければならない。(適合性の原則)
など、従来に比べより一層投資家保護が重視されることになります。ただし、この法律による保護と同時に、投資家自身も自立・自覚が求められています。つまり、金融商品を購入する際には、事前に広告などで商品内容を確認するのはもちろんのこと、日頃から金融・資本市場や世界経済の動向に関心を持ち意識的に情報収集を心がけるなど、投資家自身の姿勢も問われます。また、各自が、商品の持つ価格変動や為替変動などのリスクを理解した上で購入することが前提となっています。さらに、投資家としては、金融商品販売法や消費者契約法などの関連法規も含めて理解しておくことが、自己責任時代に自己の権利を守るために何ができるかを知る上でも重要となります。
様々な法律が施行されても、金融商品取引は、必ずしも安全性が保証されているわけではありません。自己責任の観点から、投資対象とする金融商品を自分で理解して納得がゆくまで時間をかけて選択し、慎重なスタンスで資産運用していくことが求められていることに変わりありません。
株式会社FPインテリジェンス 代表取締役/CFP®/税理士
白根 壽晴
プロフィールとコラム一覧
1954年東京都生まれ。77年早稲田大学法学部を卒業後、住友電気工業㈱を経て83年に税理士登録。資産運用アドバイスに強いファイナンシャルプランナーとして定評がある。「定年後のお金 全疑問45」(東京書籍)や「会社にも自分にももっとお金を残す本」(かんき出版)など著書も多数出版。全国の大学、金融機関などで分かり易い講演を行なっている。現在、日本ファイナンシャルプランナーズ協会専務理事としてマネー教育の普及にも努めている。
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本ページの掲載内容は、寄稿された執筆者の考え方や見方を紹介するものであり、当社が特定の金融商品や投資信託の個別銘柄を勧誘・推奨するものではありません。