|
|

弱気の相場観と歴史上の教訓
米国の住宅バブル崩壊が明確になって、米国の実態経済が受けているダメージの大きさに世界中が神経を尖らせています。米国経済の減速は、世界の金融市場に悪影響を及ぼし、ロシアやブラジルなど一部の資源国かつ新興国市場を除き、ほとんどの国の金融市場は景気後退を織り込んだ「弱気」が支配しているように見えます。現在が、各国の景気後退の入り口かどうかはいまだ判別不可能ですが、資産運用に関する相場観について歴史上の教訓から何が学べるか見てみましょう。
資産運用に於ける正しい分散投資の大切さは、FPなら誰でも説くところです。分散投資の中でも、時間分散つまり投資するタイミングの分散をドルコスト平均法(定時定額購入法)など利用して実践している方は、金融市場が強気のときも弱気のときも投資を続けていられます。従って、資産運用の中の「買い」に関しては、毎月積立てるファンド累投や株式累投をしていれば、元々合理的な購入ができていると考えられます。しかし、資産運用の大切さや必要性に気づいてこれから始めようとする方にとって、市場全体が弱気に支配されている今のような時期には、資産運用を躊躇されるのも当然のリアクションです。
ところで、資産運用の成果の要因は、資産配分が91.5%、銘柄選択が4.6%、タイミングが1.8%、その他2.1%という統計があることからも分るように、正しい資産配分=分散投資が出来ていれば、タイミングはほとんど投資成果に影響がないともいわれます。しかし、すでに述べたように私たち人間は、自分だけの判断で資産運用しているようでいて、実は市場心理に大きく影響されているものです。「野も山もみな一面に弱気なら、阿呆になって米を買うべし」とは、江戸時代の米相場の格言で「三猿金泉秘録」に記述があり、有名な米相場師本間宗久も同様の話を残しています。この格言からは、総弱気のときこそ将来を見通す勇気をもって一歩踏み出すべきだというメッセージが伝わってきます。
また、「相場は絶望の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観とともに成熟し、幸福とともに消滅する」と米国の著名な投資家ジョン・テンプルトンも言っています。一つの大相場の生成から消滅までを言い得て妙の表現ではないでしょうか。本稿でお話している資産運用は、個人投資家として相場を張ることではありません。しかし、自分の身の丈に合った正しい分散投資を始めるならば、今のような弱気の相場観が支配的な時期こそ、じっくり腰を据えた資産運用がスタートできると考えてよいのではないかと、歴史上の教訓である数々の格言が示唆してくれているように思います。米国の現状が景気後退なのか停滞なのかはまだわかりませんが、仮に景気後退期だったとしても、歴史上の後退期は比較的短かったことが表から読み取れます。
 |
 |
株式会社FPインテリジェンス 代表取締役/CFP®/税理士
白根 壽晴
|
|
| 1954年東京都生まれ。77年早稲田大学法学部を卒業後、住友電気工業㈱を経て83年に税理士登録。資産運用アドバイスに強いファイナンシャルプランナーとして定評がある。「定年後のお金 全疑問45」(東京書籍)や「会社にも自分にももっとお金を残す本」(かんき出版)など著書も多数出版。全国の大学、金融機関などで分かり易い講演を行なっている。現在、日本ファイナンシャルプランナーズ協会専務理事としてマネー教育の普及にも努めている。 |
|
|
 |
| ※ |
本ページの掲載内容は、寄稿された執筆者の考え方や見方を紹介するものであり、当社が特定の金融商品や投資信託の個別銘柄を勧誘・推奨するものではありません。 |
|
|
|