米国の新たな経済政策として、「グリーンニューディール」と「スマートグリッド」という政策があります。どちらの政策も、最新の科学技術やITを活用してエネルギー効率を高め、電力発電と送電等における温室効果ガスの発生を抑制して、環境負荷を軽減することを経済再建の起爆剤にしようとするものです。
鳩山首相も国連総会で、温室効果ガスの25%削減目標を国際公約するなど、今年になって地球温暖化対策が一気に注目を集めました。この問題を巡っては、先進国と発展途上国間の利害対立も顕著で、高まった関心ほどには対策のスピードが上がるか疑問ですが、地球環境のために世界が早く大同団結して貰いたいものです。
ところで、今後の資産運用にも、これらの政策が重要なテーマとして影響してくることを研究しておく必要があります。
つまり、エネルギー資源の中心が、石油や天然ガス、石炭などの化石燃料から再生可能エネルギーへと変化するインパクトは、私たちの想像を越えて大きくなるからです。国際エネルギー機関(IEA)は、温暖化対策の過程で2020年には化石燃料の需要が減少に転じる一方、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが2030年までに全体の3分の1を占めると分析しています。
ガソリンエンジン車から電気自動車に代わるだけでも、街中のガソリンスタンドが充電用ステーションに衣替えしなければなりませんし、クルマの部品数も10分の1ほどにも減少すると報道されています。20世紀の技術開発をリードしてきた自動車産業と周辺産業、そのインフラ整備関連業界が大変動を起こす気配が感じられます。
また、現在は「資源国」として一括りにされている国々も、それぞれの将来性が変化すると考えられます。再生可能エネルギーが主役になるまでは、現状のエネルギー源で最もパワフルでCO2排出量が少ない原子力発電の需要が伸びます。国際原子力機関(IAEA)は、現在の原子力発電能力370ギガwから2030年には810ギガwへと倍増を予測しています。その燃料であるウランや燃料電池の化学反応を起こす触媒用のプラチナを産出する国と、化石燃料だけの産出国では、資源国としての見方も変わることでしょう。
経済の停滞感の強い日本でも、これらの政策がもっと明確に展開されて閉塞感が打破されるように願うと共に、今後、世界中で長期的に拡大して行くこれらの政策と私たちの資産運用の接点についても考えてみる時期ではないでしょうか。