日本企業の海外M&Aが活発化し、今年4~9月期の海外企業買収額が前年同期比2.3倍、3.1兆円になったと報じられています。これは、現在の超円高を海外投資の絶好の機会と考えた上で、潤沢な手元資金を期待収益率の高い海外事業に向ける戦略的判断です。
経済界を中心に一般的には、円高のデメリットや円高対策が声高に言われますが、円高を嘆くばかりでなくこれを好機と捉えて、そのメリットを積極的に活かす日本企業の姿勢を私たち個人投資家も学ばねばなりません。海外M&Aは、1990年頃のバブル期、2000年頃のITバブル期に続く3度目の興隆期といわれています。
超円高の原因は様々ですが、欧州のソブリンリスク、米国経済の日本化(ジャパナイゼーション)とも呼ばれ始めた低迷の長期化、新興国も含めた世界経済の減速など将来の不確実性が高まった結果などです。しかし、短期的に消去法で円が買われる理由はあっても、中長期的に円が積極的に買われる理由がないことは、日本人ならずとも周知の事実です。
そして、永遠に上昇する相場がないように、永続的に下降低迷する相場もないもの。円と米ドルの相場に関しては、短期的には2011年10月現在の76円/$台が、いつ頃いくらまで円高になるのか誰にも予測ができません。しかし、中長期的に将来を予想した場合、この超円高のメリットを資産運用に活かそうと考えることは妥当な戦略ではないでしょうか。
確かに、日米とも国債格付けは格下げされ、金融緩和政策も行詰り、政府債務は膨張しています。政治も機能不全であり、経済もバブル崩壊からは20年、リーマンショックからも4年目にかかり、日米とも回復に苦しんでいます。しかし、基本的な相違点として、(1)米国が人口増加国であり潜在的成長力で日本を凌駕していること、(2)消費者物価は日本のデフレに対して米国は緩やかに上昇していることを忘れてはならないでしょう。
欧米の優良企業が割安で手に入る機会にM&Aに動く日本企業の積極的行動を応援すると共に、個人投資家として超円高を資産運用にどう活かすか、熟慮したいものです。勿論、欧州金融危機の見通しがいまだ不透明で解決に時間も掛かることから、投資タイミングに判断の迷うところです。それならタイミングに関係なく始められる積立投資、ドルコスト平均法の活用で、一歩踏み出す勇気を奮うこともできるのです。
(2011年10月執筆)