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ファンドと資産運用残高
2009年1月13日
資産運用の世界は規模の経済が成り立つ世界です。日本の株式に投資する投資信託(ファンド)を考えてみましょう。AファンドとBファンドです。Aファンドは(運用)資産残高が10億円、一方、Bファンドは1,000億円。いずれのファンドもファンドの維持・運用にかかる費用など(信託報酬)が、年間資産残高に対して1%であったとします。
Aファンドは年間1,000万円でファンドを維持し、運営しなければなりません。一方、Bファンドは10億円。Bファンドでは余裕を持ってファンドの維持・運営することが可能で、また、利益も上げることができそうですね。
仮に、Aファンドがアクティブ運用のファンドであったとしましょう。アクティブ運用にも種類がありますが、Aファンドは個別銘柄の割安感を測って投資するバリュー株投資を運用方針に掲げていたとします。そうすると、ファンドは、運用方針に適った割安な株式を見つけ出さなければなりません。企業のリサーチです。財務諸表上のデータだけではなく、場合によっては、会社を訪問して直接、経営陣などから話を聞く必要があるかもしれません。つまり、手間がかかります。これらの仕事は、アナリストと呼ばれる人たちの仕事ですが、一つの企業で十分な分析を行うほど、一人でカバーできる企業の数は制限されてしまいます。逆に言うと、ファンドとしてある程度のパフォーマンスを挙げるためには、相応の数のアナリストが必要であり、そのためには、相応の資金が必要ということになります。Aファンドのように極端に資産運用残高が少ないと運用にも支障をきたすわけです。おそらくAファンドの資産運用残高では、目標とする投資スタイルを維持することは難しいでしょう。
それでは、パッシブ運用のファンドであったとしたら、どのように考えればよいでしょう?パッシブ運用とは、あらかじめ決められた市場インデックスと同じような値動きをするように運用する手法です。日本の株式なので、TOPIX(東証株価指数)をベンチマークとしていたとしましょう。実は、TOPIXは1,710銘柄(2008年11月末)で構成されている株式指数です。パッシブ運用の基礎となる考え方は、TOPIXと同じ比率でファンドも1,710銘柄を保有することです。そうすると、ファンドとTOPIXの動きはまったく同じになりますよね。つまり、ファンドとTOPIXは、完全に連動した値動きになります。
ところで、AファンドとTOPIXを0.1%の単位まで同じ比率にしようと考えます。Aファンドの運用資産残高の0.1%といえば、100万円になります。しかし、残念ながら100万円単位では購入できない株式があります。たとえば、任天堂。任天堂の株式を購入しようとすると100株単位の売買になりますから、2008年11月末時点で考えると約300万円必要になります。つまり、Aファンドでは、ファンドの規模が小さいので、うまく、TOPIXと連動させることができない(0.1%の単位で比率を合わせることができない)のです。
私たちが、投資するファンドを選ぶ条件の一つとして資産運用残高を考慮したいのはこういった理由があります。
バームスコーポレーション有限会社取締役社長/CIIA®/証券アナリスト/CFP®
杉山 明
プロフィールとコラム一覧
外資系生命保険会社で変額保険、ガン保険の開発を手がけ、同グループの投信会社に移って、商品開発やファンドの定量評価分析をおこなう。
その後、ファイナンシャルプラニング業務などの金融サービスを提供するバームスコーポレーションを設立し、取締役社長に就任。
現在は、ウェブサイト上を中心とした金融および投資に関する情報提供、執筆、講演活動なども積極的に行っている
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本ページの掲載内容は、寄稿された執筆者の考え方や見方を紹介するものであり、当社が特定の金融商品や投資信託の個別銘柄を勧誘・推奨するものではありません。